2017年良かったCD(その2)

続き。順不同。2は今年に限りません。

Brutalsim

Brutalsim

UKのインダストリアル・ロック系バンドのベスト盤。ツイで某人様が上げておられていたの見て買いました。
1990年代に「Metal-Hacking Industrialism」という身震いが来てしまう程素晴らしい座右の銘を持つ「Dynamica」というレーベルがあって、このバンドはそこから出してました。
ディー・クルップス直系の熱きインダストリアル・メタルが満載かつ音質が格段に良くなってて、クソ満足!キェェェェェェーーーーーイッッッッ!!!!
Hell Yeah

Hell Yeah

http://moistly.hatenablog.com/entry/2017/09/23/193640
Ja,Nein,Vielleicht kommt sehr gut [12 inch Analog]

Ja,Nein,Vielleicht kommt sehr gut [12 inch Analog]

http://moistly.hatenablog.com/entry/2017/03/11/194000
Stowaway

Stowaway

UKのテクノ系Pの1st。
1980年代後半のテスト・デプトをハード・テクノまたはミニマルで実践したらこうなった……という感じでしょうかね。
最初から最後まで漢気溢れる、ウルトラ硬派なインダストリアル・テクノ!これを出している「Perc Trax」というレーベルも同じような音を出しているので要チェックやで!
fallondeafears.bandcamp.com
邦人ハーシュ・ノイズ系トラッカーによる同人ゲーム「東方Project」をモチーフとしたアルバム。
その「東方Project」というのは全くの門外漢で「中国人っぽい服装にゴシックをミクスチャーした服装の美少女キャラで怒首領蜂」という認識しか持ち合わせていないのですが、良いアルバムです。
基本的にはハーシュでメタル・ジャンクなのですが、時折挟まってくるゲームっぽいメロディ(これがその「東方Project」なのだろうか)が良いアクセント……というかめちゃくちゃキてて、μ-ziqを思い出しました。
ノイバウテンμ-ziqが共作したらこうなるかも……と思いました。
DINNER FUR 2 [LP] [12 inch Analog]

DINNER FUR 2 [LP] [12 inch Analog]

トミー・シュタンプと同じく所謂NDW。あとデジタル・リマスタ盤。だけどコニー・プランクのソロやクラスター、メビウスの音源を出していたレーベルからとのことなので、同時代のそれとは違う趣がありますね。
端的に表すとレゲエ、ダヴでしょうか。しかも後のベーシック・チャンネルなんかを思い起こさせる硬質で空間系のそれ。一聴きしただけではとてもレゲエには聴こえないのだけど、じわじわダヴがキます。
この時代(1982年)でこういうことを出していた人達が居たことに驚きますが、独語シャウトや反復する硬いシンセ・ベースにDAFの影響や当時既に空間系のレゲエやダヴを作っていた坂本龍一の「B2-Unit」の影響もビシバシ感じます。

今年はホントに新譜を買っていなくて(それどころか旧譜も)書くことないなぁと思ってたのだが、他ブログのベストエントリを読んで、ああ、そういえば少しは買ってたなと思いだし、なんとか書き上げた次第。
想えばガンプラとかアニメのグッズばっかり買ってた一年で音源に割くリソースが不足。それは今でも絶賛継続中なので、このブログの更新頻度は更に減少していくことでしょう!それでは酒でも飲みながらアニメを観るかな!

2017年良かったCD(その1)

順不同

ALSO SPRACH ZARATHUSTR

ALSO SPRACH ZARATHUSTR

http://moistly.hatenablog.com/entry/2017/10/07/200640
POST SELF (ポスト・セルフ: +3 bonus tracks)

POST SELF (ポスト・セルフ: +3 bonus tracks)

ナパーム・デスジャスティンとFall Of Becauseというノイズ・インダストリアルバンドにいたG.C.グリーンからなるインダストリアル系メタルバンドの8th。
一聴した時はイェスーのアルバムかと思った位にキラキラ、哀愁してますね。時折ベースをブーストさせてくるところはJKフレッシュっぽいです。新たな一手を繰り出してきました。
Zu Spaet Ihr Scheisser

Zu Spaet Ihr Scheisser

パンク系のバンドに居た人のソロプロジェクトの1st。
所謂ノイエ・ドイチェ・ヴェレというやつですが、DAF路線のコニー・プランク仕事によりプレEBMに仕上がってます。元パンクの人がやっている、というのもEBM化に拍車をかけているのかもしれないですね。初期ディー・クルップスやDAFが好きな人は買いだと思います。
f:id:moistly:20180102203845j:plain:h170
Various – Ex Yu Electronica VI
ユーゴスラヴィア時代の電子音楽をまとめたコンピの第四弾目。とはいってもこのコンピ以外は持ってません……というか手に入らない……。
この国には一番目に挙げたライバッハの他にもボルゲイジア、コプティック・レイン(と読むのかな)などなどEBM、インダストリアル系のメタルバンドがいたりするけど、このコンピに入ってる曲たちは前述したバンド達に輪をかけて可笑しな音ばかりで圧巻です。YouTubeで旧ユーゴや東独(つまるところ旧共産圏)のインダストリアルやニューウェイヴ、EBMなんかを上げているアカウントがいたりするけど、その音にグッとくる人は買った方が良いです。
まだまだ世界には変な音楽が沢山ありますね。
Concrete Desert [輸入盤CD / DLコード] (ZENCD239)_431

Concrete Desert [輸入盤CD / DLコード] (ZENCD239)_431

テクノ・アニマルなるダヴステップの先駆的なユニットでゴッドフレッシュのジャスティンとともに組んでたケヴィン・マーティンのプロジェクトで今作はドローン、ドゥーム系のバンドEarthとのコラボアルバム。
ドローン系の音は全然聴いたことが無くて、的の外れたことしか書けないのだけど、ポスト・ロックとダヴステップの融合みたいな感じを受けました。The Haxan Cloakが参加していたThe Bodyの「I Shall Die Here」からデス・ヴォイスを抜いた感じとも受けますね。なのでデス・グリップが参加していたアルバム「Angels & Devils」みたいなテクノ・アニマル再びな激烈ダヴステップは皆無です。悪しからず……。
(一旦ここまで。その2に続く)

Adriano Canzian - Pornography

Pornography (Dig)

Pornography (Dig)

イタリアのエレクトロ、テクノ、EBM系アーティストの1st。
イタロのエレクトロニック・ボディ・ミュージックといえば真っ先に挙がるのがパンコウ。しかし、このお方が奏でるそれはパンコウの素朴でちょっぴりゴシックなエレボとは大きく異なっている。
このアルバムが出たのは2005年。当時はオルタ―・イーゴの「Rocker」を端とするハードでアシッドなエレクトロが全盛だった。その流れを汲むアーティストやバンドも出始めていた頃だった。ジャスティスやデジタリズムなんかだろうか。明らかに1980年代のエレクトロとは違っている「エレクトロ」が浸透し始めていた頃だった。
しかしながら、その所謂黒人のプレヒップ・ホップこと「エレクトロ」とは違っていたそれは源を探っていくと、エレクトロニック・ボディ・ミュージックに行きつくように聴こえる。この2000年代半ばにはハード・エレクトロを体現する「エレクトロ・パンク」と呼ばれていたジャンルも同時に生まれていた。同ジャンルを表わすコンピ「エレクトロ・パンク」に収録されていたブラック・ストロボの曲を聴いてみると、EBMの影響が明らかになると思う。アシッド、ハード・ミニマル、トランスを通過したフロント242やニッツアー・エブが鳴っていた。
このアルバムも全くそれで、ハード・アシッドを通過したEBMだ。オルタ―・イーゴが開発したハード・エレクトロがニッツアー・エブと見事に融合。またクレジットに書かれた(彼が)尊敬するものにキュアー、スージー&ザ・バンシ―ズなどが並び、その所為かゴシック、ダークウェイヴのりも加味されている。
ハード・アシッド・エレクトロとエレクトロニック・ボディ・ミュージックが交差するとき……。意外とディスク・ユニオンのクラブ・ミュージック館で一枚数百円という投げ売り棚で見つけることが出来るので興味を持たれた向きは如何か?

Ron Morelli - A Gathering Together

A Gathering Together

A Gathering Together

アメリカはニューヨークの「L.I.E.S.」というかなりアウトサイダーなテクノやハウスを出しているレーベルの長の3rdアルバム。
最近のテクノやハウスの動向はさっぱりになってしまったので前述した「L.I.E.S.」というレーベルは全く知らないが、ネットに散在する情報を見るに、ゴス、インダストリアルよりなテクノも出しているよう。こういう新興勢力はチェックしとかないといけないですな。
しかし、このアルバムはPrurient他で漆黒メタル・ジャンクを出しているDominick Fernow主宰のHospital Productionsから出している。という訳でお察しの通りの音。初期から1980年代前半までのM.B.を魅せつつ、そしてそれをテクノと融合させようとしているのが伺える。それはDominick Fernowも同様の手法を使っているが、このアーティストはシカゴ・アシッドやハード・テクノのフォーマットでインダストリアルを実践しようとしている。しかもラフかつダークなシカゴ・アシッドだ。その今までにない音像は圧巻。
バム・バムを思い起こさせるダークかつ絶望感溢れるシカゴ・アシッドとイタロ・インダストリアルの雄ことマウリツィオ・ビアンキが交差するとき……。ちょうお薦め。要チェックやで!

Godflesh - A World Lit Only By Fire

A World Lit Only By Fire

A World Lit Only By Fire

イギリスのインダストリアル系メタルバンドの7th。
来月の半ばに新譜が出るというので、買った当時はあんまり良いとはいえず、数回聴いて積んでいたこのアルバムを先日、久しぶりに聴いてみたら、思いの外良かったので紹介してみたい。
本アルバムは2001年に出た「Hymns」以来でその間は13年だ。何故、それだけの年数が空いてしまったのかは知らないが、その間にも様々な名義(JKフレッシュ、イェスーなどなど)での音源をジャステインは出していたので、空いている感じは受けない。
そして、このアルバムはその13年間で行っていた各々のプロジェクトからの経験値を反映しているのかと、訊かれれば、全く無いと答えたくなるようなアルバム。(比較してもしょうがないが)前作「Hymns」は生ドラムをフィーチャーしてギター・リフやベースラインの重さよりもビートの重さに力を置いていた、彼らの今までの作風からすると異色な音になっていた。その前作が無かったかのような、冷徹なマシーン・ビートの上を荒涼、退廃としたシーケンスが流れていく、初期から1990年代半ばまでのゴッドフレッシュ。一番近いのは「Selfless」だろうか。
時に覚醒するが全体的にはヘヴィでドローンなインダストリアル・メタルが揺蕩う。倦怠感を伴う微睡をハンマービートな打ち込みが斬り込み、それがアルバム全体の良いアクセントになっている。
まだ、新譜の音源は一曲も聴いてはいないが彼らのことだ、また大きく裏切ってくることは間違いなしだ。しかし、その前にこのドローン・インダストリアル・メタルを聴いてみては如何か?

Mastertune - No Help!

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ドイツのEBMグループの1st。
端的に表そうが、迂遠で表わそうが「エレクトロニック・ボディ・ミュージック」。もうそれで本エントリは終わってしまうのだけど、もう少しだけ語りたい。
このアルバムが発表されたのは某DBサイト曰く1995年。この頃はもう欧州を席巻したトランス及びジャーマン・トランスも下火になって、それまでジャーマン・トランスに収まっていた、ゴア・トランス、サイケデリック・トランスが台頭して来た時代。同時にジャングル、ブレイクビーツ・テクノと呼ばれていたものがレイヴ寄りからベットルームで聴くような音楽へと移行し「ドラムンベース」というジャンル名になり、定着したのもこの辺りだろう(この解釈に異論がある向きは多いと思うので、私見として読んで欲しい。悪しからず)。
その時代にこのアルバムである。……少し話は変わるが1990年代半ば、家庭用ゲーム業界はプレイステーションセガ・サターンといった所謂「32bit機」へと移行し、ポリゴンで表わされた3Dゲームがシーンを賑わせていた。しかし、ソフトメーカーによっては旧ハード、つまりスーパーファミコンで新作を出しており、その存在感を示していた。
このアルバムはその旧ハードで全きの新作を出していたメーカーみたいなものだ。しかし、消えゆく旧ハードの新作ゲームが目新しさを微塵も感じさせなかったように、このアルバムもフロント242の黄金期をなぞっているのみ。が、衰退期に出されたゲームがぱっと目に見える新鮮さは無い替わりにハードの限界の限界まで追求したようなものが多く、それが胸を打つ。具体的なソフトを挙げれば、「聖剣伝説3」だろうか。職人芸ともいえる緻密かつ凝ったドット絵がひたすらに胸を打った。このアルバムもまたその限界性に追求しており、EBMというジャンルでまだできることがないか、という模索の軌跡を聴かせてくれる。
フロント242の黄金期、1980年代末期のインダストリアル寄りのニュービートが好きな向きは買って損は無!時代錯誤を恐れない漢たちの魂の輝きを聴ける!

KTL - Ⅳ

IV(紙ジャケット仕様)

IV(紙ジャケット仕様)

アメリカのドゥーム/ドローン・メタルバンドSunn O))のStephen O’MalleyとIDM系レーベルの中でも異色過ぎるEditions Mego主宰のPeter Rehbergから成るユニットの4th。
前作「2」のスラッシュ・ドローンな音像が圧巻で、もうココまで逝ってしまうと、後は何を表わしたらいいのだろうかという極北にして最北端でリアルタイムで聴いた時は解散するのでは?と思った位。
だが続きましたこのデュオは。しかし、本作は前作のスラッシュさは皆無でひたすらダークかつ不穏なドローン、ノイズ・アンビエント。あとひたすら重い。この人達にしては珍しくドラムを入れてたりするのだが、それも今作の重さを表わすのに一役買っている。
でもこの重さ……どこかで聴いたことがあるな……しかし、思い出せない……。そんな小骨が引っ掛かった様な気分を聴くたびに感じていたのだけど、先日思い出しました。そう、ゴッドフレッシュだ。
ゴッドフレッシュはナパーム・デスにいたメンバーをフロントマンとしているインダストリアル系メタルバンドだが、その手のバンドとは全く異なっている。元々ナパーム・デスにいたくらいだから違ってて当然なのだけど、ゴッドフレッシュは荒涼、退廃、ゴシックという三つの重さに彼らが好きであろう(ジャスティンはラムレーのTシャツを着ているくらいだ)パワー・エレクトロニクスが合わさっている。それでいてドローンなノリが全体に亘って続いているのだから異常過ぎる。この異常ぶりは同じくインダストリアル・メタルに分類されているKMFDMやナイン・インチ・ネイルズを聴いてみると解ると思う。
ゴッドフレッシュからデス・ヴォイスとメタリックギターを引いたようなひたすらに荒涼、退廃な雰囲気が満載のインダストリアル・ドローン。中二病的な妄想に浸るには最適の音楽だろう。お薦め。