電気グルーヴ - J-POP

J-POP

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9thアルバム。
いつからのことだろう、彼らのこと、彼らを取り巻く人々や状況が嫌いになっていったのは。十代の大半を彼らに注ぎ込んできたのに。たぶん、それは2005年の「電気グルーヴとかスチャダラパー」が発売されて聴き始めた辺りからだろう。はっきり言って「電気グルーヴとかスチャダラパー」は(個人的には)駄作だった。当時はまだ半分信者みたいなものでそう思うのは「修行が足りない」と一蹴したが、今聴くと歌詞も音のセンスもすべり捲りで誰か製作段階で止める奴はいなかったのかと思える内容で、その(「電気グルーヴとかスチャダラパー」)ライブを収録したDVDなんてひどいものだった(別にスチャダラパーが悪いわけではない)。
それから、彼らの方向性、ファンがもっと嫌いになっていき(何故嫌いになったかは未だに言語化できないでいる)、2007年になると彼らが好きだったことを黒歴史にし、自分が中学&高校時代にファンクラブに入っていた過去や記憶を葬り去った。だから2008年の本アルバムが発売されたことなんてだいぶ後になって知ったほどだった。
と長い前置きを書いてしまったが、本作を手に入れたのは今年に入ってからである。半額セールで見つけて、これなら買ってもいいかなと買ったもの。でどうだろうかこの音。凄い。人生時代のスペルマ臭さを抜いて、00年代のエレクトロや80年代のジャーマン・ニューウェイヴを注入したようなアルバム。そして何よりも凄いのが3rdに劣るとも勝らないポップ感覚。このアルバムタイトルは「J-POP」だが、そのタイトルに偽り無しの内容。彼らは過去を否定することなく、そして変わることを否定することつもりも無い。それをやってのけている。自分にはそう聴こえる。人生時代を思い起こさせることと同時に21世紀の彼らを感じるヴォーカル入りのシンセ・ポップ曲もいいが、80年代のレーベルAta Takから出てくる音にKompakt辺りの音を足したような牧歌的ミニマルのインストも良い。
以前とは違った意味でまた彼らの場所に帰ってこれた。だから、もう彼らの動向(奇行)やファンも気にすることも無いだろう。音だけで良い。そんなことを確信しながらこの紹介文を終わらせる。