ガビ・デルガド - ミストレス

ミストレス

ミストレス

DAFのヴォーカリストによるソロ1作目。
ラテン・ファンク。この作品にはDAFの縦ノリパンクは皆無。生楽器を多用した音作りはDAFの機械と汗という図式では語ることの出来ない内容。とはいえシンセや打ち込みビートなのでデジタル・ファンクといっても差し支えないと思う。DAFの時、彼等は自分達の音楽をファンク・ミュージックだと言っていたが、結果として出てきたものは、レザーを着込んだスキンヘッズを思い起こさずにはいられない右翼的なパンクだった(これは後のEBMのファッションやイメージにも繋がってくる)。皮肉の効いた歌詞から解るとおりDAF全体主義なパンクだった。そこにいくとこのアルバムは右翼的でもなく左翼的でもない解放に満ちたアルバムだ。イメージできるのは地中海のビーチで金髪美女をはべらせているレイバンかけたガビ・デルガド。そんな夏のエロスを感られる音楽に仕上がっている。
ゲイでもノンケでもいいけどガビのセックスヴォイスを前面にだしたアルバムともいえる。これがコニー・プランクプロデュースの作品と知ると、吃驚する向きもいるかもしれないけど、このデジタル・ファンク路線はコワルスキーのアルバムでも聴くことが出来、以外に音楽的に幅がある。
しかしやっぱりインダストリアル者としては管楽器を使用したり、デジタル・ファンキーな音作りを味付けにメタルジャンクを取り入れた音はフィータスやPIG、そしてRevolting Cocksの系譜をこのアルバムが作ったとしか思えない。
ラテンやエロスを十分に吸収したデジタル・ファンクは夏のこの時期にぴったりだと思う。海の家に最適なBGMだ。超お薦め。