Laibach - WAT

Wat

Wat

ユーゴスラヴィアのインダストリアルグループの6th。
ここにきて野太い打ち込みが終始鳴り響くビート系のバキバキのアルバムをこさえてきた。この人達(活動上のポリシー故、メンバーの名前は公表していない)、ボディ系の範疇にいながらして、なんとも収まりの悪いポジションにいた。だって主流のサイバーパンクとは違い、プログレ&軍隊&全体主義といったイメージを突き詰めていたから、他とは比較できなかった(だが最近になってぼちぼちフォロワーが出始めてきてはいる)。
だが先に書いたとおり、ここにきてテクノロジーを駆使したハードロックを素直に演じてきてくれたというか。「Nato」や「Kapital」でやったハウスやトランスを経て、エレクトロ・ダンス・ミュージックに再接近したというべきかもしれない。オーケストラを多用するプログレちっくなとこは変わらずとも、テクノロジーを駆使したハードロック的展開でぎりぎりのとこで従来の彼らになってしまうとこを隠している。
メタルビートと野太い打ち込みビートの上を地を這うようなシンセベース、煽るオーケストラ、インダストリアルなサンプリング、そして厳つく吼えるヴォーカル。このアルバムは90年代に入って沈黙した同郷のボルゲージアのお株を奪う、(混乱させてしまうかもしれないが)サイバーボディマーチだ。
彼等にしては珍しい全編に亘ってエレクトロニックなアルバムだが、これ以降、この路線が続くことになる一種の転換期のアルバム。マーチ、全体主義と打ち込みハンマービートが交差するとき……。お薦め。