石野卓球 - WIRE TRAX 1999-2012

WIRE TRAX 1999-2012

WIRE TRAX 1999-2012

1999年から2012年までの野外レイヴ「Wire」のコンピに収録されていた石野卓球名義の曲を集めたアルバム。
ワイヤーのコンピに収録されていたのでワイヤーの情景が浮かぶと思いきや、全く浮かばないw卓球さんがインタビューで言っている通りこのアルバムの曲がワイヤーで掛かったのかと言うとそうではなくて、当時流行っていたものが(ワイヤー)アンセムになっていた。それはカガミの「トーキョウ・ディスコ・ミュージック」だったりオルター・エゴの「ロッカー」である。今挙げた曲は聴くだけで会場の雰囲気が容易に思い出せる。
テクノから、トランス、そしてエレクトロまで様々なスタイルの曲が混じっているが、どの曲もある種のトランス感がある。それはこの頃気が付いたのだが、卓球さんの曲の根底にはクラフトワークがある。トランスにはある意味での叙情的なものがあるが、クラフトワークにはそれが皆無。ただひたすらにサイケデリックなトランスがある。ゴアやサイケデリックトランスにも近いと思う向きもいるかもしれないが、ゴアには泥臭い哀愁感ただよう叙情性がある。内省的な感情は無く、高揚感のあるダンス・ミュージックがある。言葉では感情的な物を排除したと語っていたはずのケン・イシイデトロイトテクノのエモーショナルが満載な曲を作るのとは対照的に言葉のうえでは感情的な卓球さんの曲にはエモが無い。不思議だよね。だって電気グルーヴの曲には哀愁や恋愛感情じみた、とても人間臭い曲ばっかりなのに。やっぱり瀧さんがいることによって感情が入るのかな。
あとこのトランス感覚どこかで聴いたのかと思えば、Front 242に似ているのだよね。フロント242もクラフトワークな感情の希薄な姿勢の音楽を作る。
だだひたすら感情が希薄かつサイケな高揚感のあるエレクトロニック・ダンス・ミュージックがある。今年のベスト入り間違いなし。超お薦め。