Solar Enemy - Dirty Vs Universe

Fastest Reflexes

Fastest Reflexes

Portion Controlのメンバーによるインダストリアル/エレクトロニックユニットの1st。
このSolar Enemyというユニットを知ったのは、新宿ディスクユニオンの6Fのノイズコーナーで偶然見つけたサード・マインド(80年代後半のEBMシーンを代表するUKのレーベル)のコンピだった。いかにもノイズやニューウェイヴの残滓を感じるEBMに混じって90年代のトランスを思い起こさせるような音は耳を惹いた。90年代のZoth Ommogやクレオパトラから出てきそうなサイバーかつトランシーなEBMだった。
ここで話は変わるがPortion Controlといえば80年代初期から活動していて、DAFやDie Kruppsに次いでEBMの発明者だ。しかしPortion ControlはDAFやDie Kruppsとは明らかに違っていた。DAFは肉体の動きをシンセサイザーという機械を通して表していた。一方Portion Controlは機械化した肉体の動きを表していた。しかしどっちもEBMであることには変わりない。だが90年代以降のEBMがどちらを選んだかと言うと後者のPortion Controlだった。具体的な例を挙げると(これは音を聴けば分かるが)Nitzer EbbDAFやDie Krupps、Front 242、Front Line Assembly(以下FLA)&Skinny PuppyはPortion Controlの系譜だ。Nitzer Ebbが90年代に入ると迷走したが、FLAは水を得た魚のように名作「Caustic Grip」を発表以降時代とシンクロする。EBMサイバーパンクを選んだのだ。これは2000年代後半にオールドスクールEBMが現れるまで続く。
アルバムの紹介がずいぶんあっさりしていたと思う。でPortion Controlを紹介した。その方がこのアルバムを表現できると思ったからだ。Portion Controlファン及びFront 242やFLA好きは必聴だろう。お薦め。