Guilt Trip - Feed the Fire

Feed the Fire

Feed the Fire

スウェーデンのインダストリアルデュオの(実質的な)1st。
近頃80年代後半から90年代初期のスキニー・パピーを感じるような音が聴こえてこないなぁ、と思っていたところに来ました彼等が。サイバーなんちゃらの影響が色濃い2000年代からのダークエレクトロやEBMとは全く趣の違うダークエレクトロ/EBMがここに。スキニー・パピーの「Vivisect Vi」から「Too Dark Park」までの総決算。殺意、不安神経症、躁鬱といったネガティヴキーワードをインダストリアル・メタル、エレクトロニック・ボディ・ミュージックで表現する。そんなネガティヴなイメージを持ちながらも不気味なまでに美しく耽美に聴こえる音楽が自分の心を掴んで放さない。絶望の中に美しさを見出す。これがスキニー・パピーの音楽の核ではないだろうか。動画共有サイトにアップロードされているスキニーを使ったAMVを観ていると、その核の部分が思いのほか伝わっていると感じることが多い。エイフェックス・ツインの初期のようにノイズという破壊や絶望の意味をもつ場所からさきに素晴らしく心を打つメロディが聴こえてくるのだ。
ここでこのアルバムが完全にコピーバンドの域を超えていないと思うような書き方をしてきた。しかしこのアルバムにはそれだけで終われない部分がある。それはDAFを引き継いで更に向上させたNitzer Ebbのようにこのアルバムもまた80年代から90年代初期のスキニーを引き継いで、現在のエレクトロやダブステップと結び付け進化させている。
Necro Facilityに替わりまたまたスキニーのフォロワー登場。彼等の存在は80年代後半のNitzer Ebbに匹敵するのかもしれないが、今後はどのような方向性を見せてくれるかで判断したいので保留としたい。スキニー好きにはお薦め。