KMFDM - Kunst

Kunst

Kunst

もう何作目というのも数えるのが面倒な大御所インダストリアル・メタルバンドの新譜。
この頃きっちりと2年の間隔を空けてアルバムを発表かつどこぞのバンドとは違って(皆もそのバンドを考えてみよう。しかしその名前は挙げないで下さいw心の中にしまっておいて!)高品質な音楽を自分に届けてくれる。
ツイッターのタイムラインにこのアルバムを「Symbols」というものが流れてきたけど、まさに言い得て妙。あのアルバムのアシッド感覚とインダストリアル・メタルが交差する。1曲目こそバンド紹介みたいな過去のカットアップで構成されたメガミックスだが、後半に行くにつれてアシッド度は高くなりかつ速く縦ノリパンク味な曲になってきて否が応でもアドレナリンが分泌されてハイテンションに。朝の通学/通勤時の栄養ドリンクとして有用に作用します。速くなると軽くなりがちという向きもいるかも知れないが、近年の彼等の座右の銘であるウルトラ・へヴィ・ビートは守られているので安心安全。要所要所で重くしてくるのだ。でも全編に亘って重かった「Hau Ruck」に比べると軽いけど。まぁそれを補うアシッドと縦ノリが凄い。そう考えると、前作はテクノ・メタルだったが、今作はNitzer Ebbを思い起こさせる直線的で性急なエレクトロニック・ボディ・ミュージックの色が強いかもしれない。ここまで書いて気が付いたけど、前作よりも好きかもしれない。なんかさぁ先にNitzer Ebbを挙げたけど、EBMからインダストリアル・メタルに移行した直後の「Angst」と90年代後期の「Symbols」のアシッドテクノが融合してていいのだよね。
冒頭に書いたメガミックスで始まるように今作はKMFDMの過去の遺産で作られている。目新しさはないが(というか放棄しているようにも思える)、90年代初期から後期を融合させ、また現在の彼等のウルトラ・へヴィ・ビートが守られたこのアルバムは今年のベストだろう。とにかくEBMな縦ノリパンクが素晴らしい。