Laibach - Nato

Nato

Nato

ユーゴスラヴィアのインダストリアルバンドの5th。
自分が一番好きなアルバム。前作はハードコアブレイクビーツやハウスのビートを取り入れて時代に媚びたような音を出してきたが、今作はそういう色目を使ってない!大体このアルバムのコンセプトは世界中の戦争に関する歌をカヴァーするというもの。このアルバムは1994年に出ているが、当時ユーゴは音楽どころでは無かったハズ*1。その状態でバンド活動及びアルバム制作は賞賛に値すると個人的に思う。だが彼等はそんな状況下においても「ラブ&ピース」とは言わずに先に挙げたコンセプトを通す。Muteから出ているドキュメントと1994年から1995年のライブ映像を収めた「Laibach 2 - A Film From Slovenia Occuppied Europe Nato Tour [DVD] [Import]」で明かされている通り、「芸術とは狂信的行為」という言葉から解るように決して自分達の使命から逃げない。
と大層なことを書いたがこのアルバム前作がどこにいったのかしらという程にエレクトロニックに傾いたボディ・ミュージック。しかし80年代までのノイズを捨てトランスと結託するという90年代風のEBM。しかし重苦しく思わず行進したくなるようなオーケストラは健在。80年代の傑作「Opus Dei」のアップデート盤だと感じる。でも完全に打ち込みだから曲によっては迫力に欠ける部分もあるけど。DAFのカバーもいいがヨーロッパのカバーはサイコー。あとその曲をジュノ・リアクターに頼むという精神もサイコー。
彼等の最高傑作だと思う。お薦め。