Scraping Foetus Off the Wheel - Nail

Nail

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オーストラリア出身のインダストリアル系アーティストの4th。
パンク。同時期のインダストリアル系バンド達と比較するとこのフィータス、同じジャンルに入れてもいいものかと思ってしまうほどの異形ぶり。とにかくぶっ飛ぶことが目的としか言えないような、テンションの高さには圧倒される。同時代のノイズ・インダストリアル勢がどこかインテリジェント性を大事にしたり(発言にしなくても)それをはかとなく醸し出していたが、フィータスは違う。リビドー全開、裸一貫で暴走する。彼の発散具合を音を通して体験する(というかさせられる)という表現が正しいのかもしれない。しかし反知性という訳でもなく、(自分は英語が解らないので伝わってこないが)歌詞の訳を雑誌で読んだことがあるが、いくつも解釈が出来てなかなか難しく、考えさせられるものだった。あとスラングや彼自身が作ったいわゆる造語を多々使用するので、訳者も注釈を多用していて面白い。
この爆発はDAFとも違う。DAFは突っ走りながらもどこかドイツ人の生真面目さが出てしまったり、自分達の行動を政治や歴史に結びつけたりして意味を持たせようとする。フィータスはそういうものを内包しつつもぶっ飛びの方が勝ってしまう。少なくとも日本人である自分にはそう聴こえる。でもこれは英語が解る人だと違ってくるかもしれない。
しかしこれほどに「セックス、ドラッグ、ロックンロール」を体言する音楽を自分は経験したことがない。これは別にインダストリアルでなくてもいいが、彼が夢想する音を最適に表現できるのは、やっぱりメタル・パーカッションだったりテクノロジーなのかもしれない、と思ってしまうほどに圧巻できる音楽なのだ。
メタル・ジャンクが奏でる騒音と共に暴れる彼の姿はサイバー・パンク都市でこそ映えるマントショー。ボ、ボディィィィィィィィィィィ〜〜〜〜〜〜〜ッッッッ!!!