Swamp Terrorists - Killer

Killer

Killer

スイスのエレクトロ・インダストリアルデュオの5th。
この2人組み、殆ど奇跡みたいな巡り合わせで、3rdが邦盤リリースされて(しかもアルファから)解説文を今でも刊行されている「BURRN!」の編集員が書いているという、物凄いオモロい合わせ技を披露。当時の日本のレコード会社は余裕があったんですねー。まぁアルファは当時から方々でおかしいと言われてて、採算度外視でURのXシリーズやデペッシュ・モードキャバレー・ヴォルテールSPKのボックスセットを出していたりしたから、このぐらいは全然慣れた物なのかもしれない。あと「エレクトロ・ボディ・ミュージック」ボックス。ミュート、Wax Trax!、PIASレーベルとは提携していた。でそのお金がどこから出てくるのかと言えばYMOファンwこの辺の話は面白くて色々調べてみたいですね。あはは、自分はなンて性格が悪いンだろう。検索キーワードは(うる覚えで申し訳ないが)「アルファ商法」、「アルファ被害者の会」とかで。
3rdの「BURRN!」編集員の解説文を読むと、「テクノ」という言葉を物凄い頻度で使ってて、テクノ・ヘッズ(笑い)たる自分には「メタラーはこれを「テクノ」と呼ぶのか!」とかなり「デ、デカルチャー!」だった。
このアルバムも3rdの延長線上にあるインダストリアル・メタルだが、3rdがどこか90年代初頭のUKハードコア・レイヴやブレイクビーツテクノを参照してメタルを作り上げていたのに対し、本作はメタルを基調としたハードコア・テクノを作り上げている。ハードコアテクノといっても90年代半ばから爆発的な広がりを魅せた「ガバ」だろう。90年代初頭に生まれた「ハードコアテクノ」はある種のインテリジェント性を重きに置いていたそれまでのテクノを破壊し尽くし、(多くの人達がイメージするであろう)メタルやハードロックの反知性(しかしこの考えを自分は持っていない)を爆発させた音楽だと自分は「ハードコアテクノ」に感じる(だからその反動で「インテリジェント・テクノ」と呼ばれるジャンルが出てきたのだろう)。ガバはそれを更に推し進めた「テクノ音楽」で理屈じゃない身体にビシバシくる「メタル」をハイテクで表現したという感じ。で、その「ガバ」の連中がスラッシーかつメタリックなギター音を入れることに躊躇が無かったように、このアルバムもそれをミニストリー由来の「インダストリアル」を「ガバキック」と共に取り込む。
ガバ、インダストリアル、メタルの三身合体で登場したのがこのアルバム。KMFDMとはまた別の側面を持った「インダストリアル・メタル」だと思った。