Funker Vogt - Companions in Crime

Companions in Crime

Companions in Crime

ドイツのEBMバンドの10th。
傑作だった前作の延長線上なんだろうな、と思って聴いたら、あれ?
いやエレクトロニック・ボディ・ミュージックであることには変わりないンだが、前作にあったメタル・ジャンク、哀愁メロディが希薄でやたらアシッドで機械的でフィジカル面だけを強調してくる仕上がりというべきか。同時期の別プロジェクトのゲッコー・セクターですらフンカー路線だったから驚いた。
1980年代中期のデペッシュ・モードをフューチャー・ポップな味付けを施したそれは彼ら本来の持ち味を生かした上で昨今のインダストリアル・リヴァイヴァルを持ってきた感じの前作はかなり衝撃だったけど、今作はその路線とは違う趣がある。先に書いたようにやたらハードに推して来てフィジカルを強調している……そこにちょっとしたトランシーな哀愁メロディが入ってくるというもの。音の硬さで言えば前作に軍配が上がるが、気恥ずかしいくらいに哀愁メロディを乗せてきて、ほんと1980年代中期のデペッシュ・モードみたいな仕上がりになってて不思議と硬さを感じなかった。しかし今作はバリバリ硬い。メタル・パーカッションは前作ほど聴こえてこない(それでも結構入れてくる辺り気に入ってたと見る)けど、ブッといエレクトロ・ビートと硬質かつアシッドなベースラインが疾走し、ヴォーカルが叫ぶ。
KMFDMの座右の銘である「ウルトラ・へヴィ・ビート」がなんら疑問の余地なくハマってしまうエレクトロニック・ボディ・ミュージックだ。ちょっと短い文章になったけどこれでお終いにしたい。漢のEBMを聴きたい向きは買うといいだろう。