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Skinny Puppy - Vivisect Vi

Vivisect Vi

Vivisect Vi

カナダのインダストリアル/EBM系バンドの4th。
前作はダークアンビエント、エレボディかつメロディアスで後にライブで演奏している曲が幾つかあったが、後の彼等のアルバムを聴いていくと割りと過渡期という感がある。しかし本作はスーパー・ジャンキーなゴミクズ&ぶっ壊れた音楽を確立し全編に亘って披露した1980年代後半における超傑作。後のIDMを思わせる変調子のエレクトロ・ビートやそこにディストーションをかけたり、金物系のエレクトロ・ビートを多用し他のエレボディ系のバンドとは趣が違い過ぎる音楽で当時も扱いに困っていたそうでフールズ・メイト誌は「テクノ化したヴァージン・プルーンズ」などと表していたりする。
でその「テクノ化したヴァージン・プルーンズ」という表現がなかなか秀逸でこのバンド初期からポジティヴ・パンクのような井出たち(初期のライブでのステージ模様は「バウハウスみたい」などとも言われたそうだ)でその格好でスーサイドのようなエレクトロ・パンクを演奏していた。また彼等のMVはホワイトハウスSPKの影響が見られるような映像模様で、TVニュース映像、動物実験映像や世界の衝撃映像、そしてルチオ・フルチダリオ・アルジェント等のイタロ・ホラーのスプラッター映像をサンプリングしたりしていて、そういう面では古き良き(かは知らんw)ノイズ・インダストリアルの後継者でもあったりする。1980年代後半に現れたエレボディは結構1970年代後半から1980年代初期の所謂ノイズ・インダストリアルとは断絶していたりするからね。まぁエレボディは転向したノイズ・インダストリアル組からの音源が多いからそう断言は出来ないけど。あとステージ上での自傷行為とか、ああいうパフォーマンスもノイズっぽいのかもね。
でもこのアルバムは凄いよ。マジで。ディストーションエレクトロ・ビートの上を政治的かつ不穏なサンプリング音声やこれまたディストーションギター&ダークシンセが絡み、二ヴェック・オーガさんがデス・ヴォイスを撒き散らす。まさに「スーパー・ジャンク」と形容でもしたくなる圧巻の音楽。本人達がこのアルバムで満足したのかは自分には知りようも無いが、次作でミニストリーのアルにプロデュースを頼んでメタルを取り入れているとこを見るにまんざらでも無い感がある。そしてその次でメタルとノイズ・インダストリアル由来のエレボディを混ぜてきて、げに恐ろしき作品を発表したりするからこのバンドから目を離せない。
エレボディ好きに限らずぶっ壊れた音楽が好きな向きにはぜひともお薦めしたいアルバム。あとNIN好きにも聴いて欲しい。トレント・レズナー自身が公言するように、NINの原点はスキニー・パピーにある。傑作。