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Velvet Acid Christ - Calling Ov the Dead

Calling Ov the Dead

Calling Ov the Dead

アメリカのエレクトロ・インダストリアル/ダークエレクトロバンドの2nd。
晴れの日が三日もたず、じめじめかつ寒々とした薄暗い日が続く今日この頃にぴったりなアルバムを紹介したい。このアルバムで憂鬱な日常が更に憂鬱に……。
ダーク・エレクトロの原点とは?と問われれば即座にスキニー・パピーと応えてしまう自分。1980年代後半の時点ではエレボディに数えられていたが(当時のフールズ・メイト誌を読むと「テクノ化したヴァージン・プルーンズ」と評しているのは言い得て妙だ)、どこかスキニーは蚊帳の外的な扱いを受けていたように見れる(自分はリアルタイム世代ではないのでこうしか書けない)。しかし1990年代に入るとアメリカというかインダストリアル界隈はスキニーを選ぶ。映画「レスラー」で薹が立ったミッキー・ロークがバーのママと「(1980年代の)ハードロック、メタルさいこー!陰気な90年代大嫌い!」と叫ぶシーンがあるが、その陰気な90年代を代表してしまう音楽がここに……。
このアルバムは1996年に発表されたアルバムだが、当時こういうジャンルが隆盛していたのかしていなかったのか、自分にはさっぱり解らない。テクノが隆盛していてインダストリアル・シーンというものが死滅していた日本(しかしノイズシーンは相変わらずあった模様)、そして死滅しかかっていた海の向こうのシーンと相まって、マジな話、情報が見えない。英語のサイトを読めばある程度は見れるかもしれないが、自分は無学なため時間を要するとこだろう。あと加えてそもそも英語でも無かったりするので、大変にハードルが高きシーンだ1990年代のダークエレクトロは。
そういう事実からこのバンドも孤軍奮闘していたのだろう。またレーベルのメトロポリスもだ。1990年代前半に会社更生法を喰らって倒産した後にTVTの傘下に入ったWax Trax!、ゴスを中心にリリースしながらもインダストリアルを出していたクレオパトラ……。そしてKMFDMを擁しながらもイギリスのワープやアンダーワールドの音源をライセンスリリースしたりして殆ど「テクノ」レーベルと化したWax Trax!……。その同じ地シカゴを拠点とするメトロポリスは(カタログ一番目の年が1995年なのでその辺りからレーベルとして機能し始めたと見ると)その二つを引き継いだレーベルと見てもいいのではないだろうか。
このバンドはジュノ・リアクターから影響を受けたと公言している通りトランス……というかサイケデリック・トランスを取り入れており、それは当時トランス色の強いインダストリアルやEBMを多く扱っていたクレオパトラに近く、その事実が前述を補強する。そのサイケデリック・トランスとスキニー・パピーのぶっ壊れたインダストリアル・ボディ・ミュージックが結びついた……と表現したくなるような音楽に仕上がっている。クレオパトラの1990年代のインダストリアル及びEBMにしてもそうだが、このバンドみたくトランスと結びついてそれなりに健在だったことが解るだろう。元はトランスのルーツであるEBMがこうなるのは可笑しな話ではあるが……。
なんだかまとまりに欠ける紹介文になっていってしまったが1990年代のインダストリアル、EBM、そしてダークエレクトロに関しては今後もっとも掘っていきたい領域だ。お薦め。