Greater Than One - London

London

London

イギリスのインダストリアル系デュオの3rd。
この二人組、ハードコア、ガバを聴く向きには心当たりがあると思う。1990年代に入るとGTOと略してガバやハッピー・ハードコア路線で有名に。あとはこの人達は変名も多く、名義を挙げるだけで疲れてしまうので割愛したい。興味ある向きは調べてみると面白いだろう。
ガバ畑で有名なだけに、その路線期待する向きにはこのアルバムは全くお薦めできない。1987年発表1stがSPK主宰する「Side Effects」からリリースされていた……という事実から解るように「インダストリアル」。しかし、音を実際聴いてみると、初期SPKが鳴らしていた残虐嗜好の「ノイズ・インダストリアル」とは異なった印象を受ける。メタル・パーカッション、エレクトロ・ノイズなどが聴こえてくるのでやはりインダストリアルではあるが、妙なダンサブル、グルーヴィーに持っていく展開は前述した通りSPKとは水と油だ。
ひとつひとつの要素を抜き出してみると、SPKとは相通ずるものがある。しかしこのGreater Than Oneは踊らせたいという欲望が隠せない。その部分でノイズ・インダストリアルとは趣が違う。矛盾してしまうが、今の視点で聴いてみると楽曲によっては「ダンス音楽」に使えるものがあったりする「ノイズ・インダストリアル」でも。Greater Than Oneはその部分をすくい上げているように聴こえる。そして本エントリで紹介する「London」は1988年当時「Wax Trax!」から発表されている。このことからも解ると思う。また後期SPKのような幽玄、荒涼としたインダストリアル・アンビエントも聴けるので一本調子にはならないところも良い……。ちなみに「ノイズ・インダストリアル」をダンス音楽として見る動きは、ここ2〜3年で頭角を現している「ゴルジェ」で盛んだろう。「ゴルジェ」を聴いたり、周辺のまとめを見てみると、それが理解できると思う。
「Greater Than Oneの3rd、良いよね」、「良い……」そんな風なやり取りが様になる趣に満ち溢れた作品。ちょうお薦め。