Foetus Inc – Sink

Sink

Sink

オーストラリア出身のインダストリアル系アーティストのシングル曲を集めたコンピレーションアルバム。
1990年代のインダストリアル及びEBMの教科書になったような人。この人がいなかったらKMFDMもPIGもナイン・インチ・ネイルズも現れなかったであろう。
で、当時の受け取られ方はどうだったかと1987年のフールズメイト誌を参照に挙げると”最近のUKを中心にポスト・インダストリアル以降のノイズ&アヴァンギャルドのサウンドをみていくと、大まかに言って、1975年にTG(スロビング・グリセルのこと)が編み出したノイズ&アヴァンギャルドの拡大再生産に対する揺れ戻しのようにリズムが明確で構成面を重視したサウンドが主流になってきているようだ。(中略)何にまして、先のTG以来のインダストリアル・ムーヴメントに多く見られたコンセプチャルな姿勢を明確化すること、つまり何らかの思想的背景を明らかにしてまで大げさに言うなら、世界に対峙する必然性も、根拠も、また、戦略的価値もなくなってきていることにより、よりパーソナルなサウンド追及が多くのアーティストに見受けられる。
例えばジム・フィータスなどはそうしたアーティストの代表格として挙げられるだろう”と書いてある。
このことから1980年代後半からのEBMを聴けば解るようにそれまでのノイズ・インダストリアルのコンセプチャルな姿勢とは決別ないし、はっきりと言うと考えてない。だからミニストリーを聴く向きにTGを薦めても芳しくない、という事実は先述のフールズメイト誌からの引用で解るだろう。しかし、コレは例外もありノイズ・インダストリアルからの転向バンドもかなり居て、一緒くたには出来ない。またライバッハは肉体的な部分と思想的な部分の両方を表現したことはヴィジュアルで解ってしまう。
そういった意味で自分はフィータスにはロックン・ロールを大いに感じる。機械を我肉体として動かしていく……モビルスーツみたいなものだろう。しかもニュータイプ専用のだ。サイコミュシステムを使いファンネルをびゅんびゅん飛ばして操る。そういう音楽として「エレクトロニック・ボディ・ミュージック」を捉えてみたい。
ノイバウテンにあるロック性を推し進めた結果がフィータスであり後のEBMだ。メタル・パーカッション、エレクトロ・ボディ・ビートの上をプレスリーが腰を振る。買え!以上!