Richard H. Kirk – Disposable Half-Truths

Disposable Half

Disposable Half

Cabaret VoltaireのRichard H. Kirkのソロ1stアルバム。
リリースがThrobbing Gristle主宰のIndustrial Records、ということから解るように、インダストリアル。しかし、この暗黒っぷりとサイケデリックな趣はなんだろう?漆黒インダストリアル・サイケとでも呼びたくなる。陰気だが聴いていると空間がぐんにゃりとしてくる。ブラックホールに包まれていくような……。カンの「タゴマゴ」の後半をMBにリミックスさせたら……、そんなヤバき音源が満載。こんな音が1980年に出されているとは信じたくない出来。この時期のキャブス、「Three Mantras」もそうだったがひたすら内側に沈んでいくような音、つまりマントラを唱えるが如く瞑想的な音は同じインダストリアルでも初期SPKホワイトハウスに見られたハードコア・パンクと何ら変わりなき暴力性とは全く違っている。
1960年代後半のジャーマン・ロックや後の音響派を思わすサイケデリックなダヴだが、そこにインダストリアルな味付けで見事なオリジナリティを確立している。最近のヴァチカン・シャドウ、黒雨を擁するレーベル「Blackest Ever Black」を好む向きにもお薦めしたい暗黒インダストリアル。ちょうお薦め。