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Richard H. Kirk – Black Jesus Voice

Black Jesus Voice

Black Jesus Voice

Cabaret Voltaireのギタリスト、Richard H. Kirkのソロアルバム三作目。
同時期のキャブスからステファン・マリンダーのヴォーカルを抜いた音源が満載。ぶっちゃけキャブスのアルバムを聴いているのと変わりない。しかし、良い。この時期にハマる音楽。
しかし、この時期のキャブス及びRichard H. Kirkのアルバムは面白い。彼らの出自はノイズ・インダストリアル及びパンクだったが、クリス・ワトソンが抜けてRichard H. Kirk、ステファン・マリンダーの二人体制になってからはこのソロのような音になった。ジェームス・ブラウンという曲があるように所謂「ファンク」を奏でたかったらしい。勿論、そのまま演奏するのではなく、テクノロジーを用いた「ファンク」音楽。がこれは正に同時のP-ファンクやエレクトロが目指していたスタイルで、そこからキャブスも「エレクトロ」と呼んでもいいのかと思うと、どうもにも収まりが悪い。かと言ってイタロ・ディスコ、ハイエナジーなどのエレクトロ・ディスコと呼べばいいのかと思うが、そことは水と油な音だろう。
また当時、どう受け入れられてたかと、1986年のフールズメイト誌をめくると「反復する単調リズム・ボックスを基調に若干のインストを絡ませただけの催眠的な音。考えるだけむなしい、聴くだけで涙がでてくる」と酷評されている。このことから解るようにどう聴いていいのか?という混乱めいたものが見えてくる。辺境音楽、という言葉があるが、このアルバム、ひいてはキャブスこそそのジャンルが当てはまるかもしれない。しかし、その二年後辺りからこの手の「辺境音楽」が「エレクトロニック・ボディ・ミュージック」として頭角を現すのだからわからない。
1980年代後半のテスト・デプト、マーク・スチュワートエイドリアン・シャーウッドのPちゃんものが好きな向きにもお薦めしたい。ひんやりとしたエレクトロ・ビートに荒涼とした上物が夏にはイイ音楽。