Peace, Love And Pitbulls – Peace, Love And Pitbulls

Peace Love and Pitbulls

Peace Love and Pitbulls

スウェーデンのインダストリアル・ロックバンドの1st。
ナイン・インチ・ネイルズミニストリーらがミリオンセラーを記録して全世界から追従するバンド群が出てきた1990年代前半。メタルバンドもインダストリアルを取り入れたりして一大ムーブメントと化したが、球数が多くなると失投もその分だけ増えることになり、中には暴投みたいな作品もあったりしてこのジャンル、試聴が欠かせない。
が、しかし、このバンド及び本エントリで紹介するアルバムは失投どころか150キロオーバーのストレートを真ん中に投げてくるような目が覚めるような「インダストリアル・ロック」。ナイン・インチ・ネイルズのようなトランシーを持ちながらミニストリーのようなスピード感も持ち合わせている。そしてなによりも素晴らしいのが数多のバンドがミニストリー、NIN眷属バンドから脱出出来なかったが、このバンド、1stにして独自の音像を作り上げていて眷属バンドと軽々しく呼べない。重量感かつダンサブルなデジタルビートの上をメタリックなギターと同期するようなデジタルリフ、時々挟まれるTB-303によるうにょうにょビキビキベースラインが時に疾走し時に重く絡み電気加工したヴォーカルが吠える。
後の「デジタル・ロック」を予見するようなテクノロジーを駆使したメタルで今書いてて気が付いたがナイン・インチ・ネイルズミニストリーよりKMFDM、同郷のスワンプ・テロリスツに近いかもしれない。もしかしたらこの人達はEBM上がりかトランス上がりなのかもしれない。かなりテクノ寄りの音像。ちょうお薦め。