The Neon Judgement – Are You Real

Are You Real

Are You Real

ベルギーEBM/エレクトロ・ロックバンドの5th。
打ち込みにサイケデリックなギター、冷たくダークなシンセ……。所謂ポジティヴ・パンクと(主に日本では)呼ばれていた音楽。欧州やUKで人気を博していたシスターズ・オヴ・マーシー、サザン・デス・カルト、クリスチャン・デス、セックス・ギャング・チルドレン、ダンス・ソサエティ辺りの音。
しかし、この二人組は当時ビート・インダストリアルやEBMを盛んに出していたレーベル「Play It Again Sam Records」(以下PIAS)から出していたためフロント242なんかと同じように捉えられていた。でも実はこれが重要でEBMかつインダストリアルを聴くとポジパンと曖昧な、または重なっている部分も多く(どっちが影響を受けたのかは自分はリアルタイム世代ではないので解らない。しかし時系列的に捉えるならEBM側が影響を受けたのだろう)同じレーベルからフロント242とこの二人組が出てきてもなんら可笑しくないのだ不思議なことに。当時の曖昧なバンドはPIASには他にも居て挙げるならフランスのトリゾミー21、UKのカサンドラ・コンプレックスだろうか。
それは日本も同じだったようで後のV系のモデルになっている「トランス・レコード」はサディ・サッズ、ソドムといったポジパンを輩出しながらも石川忠さん率いるZEITLICH VERGELTERというノイバウテンを日本流に解釈し更新させたインダストリアル・メタル・ジャンクバンドが居た。またサディ・サッズ、ソドムにしても海外のポジパン同様に曖昧でインダストリアル、EBMと呼んでも差し遣いが無かったりする。実際にサディ・サッズを聴いた後にニッツアー・エブの1stをかけてみると良い、誤差が気にしなくても良い範囲だと気が付くだろう。
しかし、このアルバムはそのポジパンというよりはハウス。4thから既にカントリーやブルースを取り入れてダークさは保ちつつもポジパンからは徐々に脱却しつつあったが、ここに来て大きく変化したよう。新たに黒人のメンバーが加入したようで曲によっては(当時の)ヒップホップ調の曲もある。でもメロディはあくまでもカントリー調なのが面白い。2nd以降のディー・ワルツォーみたいな感じ。古いジャンル(カントリー)と最先端(ハウス)の融合を試みていてかつ両方ともアメリカの音楽ジャンルであることが印象的だ。二人とも生粋のベルギー人なのにね。あはは。
牧歌的なハウスミュージックがここに……。初期のポジパンを期待する向きにはお薦めできないが、このひたすら明るく弛緩した雰囲気はそろそろ春めいてきた時期には最適かもしれない。