The Cassandra Complex – Sex & Death

Sex & Death

Sex & Death

イギリスのゴシック・ロックバンドの6th。
数年前に買って、所謂積読ならぬ積聴になってた盤だが、整理しようと棚をのぞいていた時に発見。でちょっと聴いてみようかと再生したら……。まるで年末清掃や引っ越し時にある押入れから出てきた古い漫画を読み耽るかの如くハマってしまった。
冒頭にゴスロックと書いたが、このバンド1stはともかくとして2ndからは当時インダストリアル・ビートやエレクトロニック・ボディ・ミュージックを輩出していた「Play It Again Sam Records」。なのでフロント242らと同じ棚に入れられていた。またジャンル勃興となったコンピ「This Is Electronic Body Music」に収録されてしまったためよりそのイメージが強い。まぁ今このコンピを聴くとフロント242、スキニー・パピー、ボルゲイジアなんかはど真ん中だが、ネオン・ジャッジメント、a;Grumh...は明らかに違う。なんで違うのかは後述するが、当時打ち込みやらの電子楽器を多用しかつ電子楽器でしか表現出来ない音を奏でる連中を集めたコンピだったのだろう「This Is Electronic Body Music」は。
さっき書いた明らかに違ってる連中は他にも沢山居て、パッと思いつくのを挙げると同レーベルのシグロXX、トリゾミー21だろうか。それらは端的に表すと「ポジティヴ・パンク(以下:ポジパン)」だ。サザン・デス・カルト、クリスチャン・デス、エイリアン・セックス・フィーンド、セックス・ギャング・チルドレン、ダンス・ソサエティ、シスターズ・オヴ・マーシー……。これらのバンドを引き継いだ音だと思っていただければ良いと思ったカサンドラ・コンプレックスは。
前にも本ブログでポジパンのことについては触れたがこのジャンル、パンクと言いながらシンセや打ち込みを多用する。ぶっちゃけて言えばニューロマンティクスポスト・パンクの残党なのかもしれない。彼らポジパンが参照するのはジョイ・ディヴィジョンバウハウス、キュアーなのだから……。実際「ジョイ・ディヴィジョンのよう」と一言で済むバンドも多い……というか大半だ。あはは。
で、このアルバムなのだが彼らの最高傑作なのではないだろうか。2作ほど前からハウスやEBMに接近していたが、このアルバムはそれらを吸収しながらもポジパンと紐づけることに成功している。またEBMからのニュービートからのトランスまでも取り入れている。同じ時期にインダストリアル・メタルにトランスを取り込んでいたUKのCubanateが居たが、このアルバムはシスターズ・オヴ・マーシーな点が異なる。
暗黒ニューウェイヴをそのままにトランスと融合させることが出来たのはそのトランスの原点であったEBM総本山ながらポジパンなバンドも居た「Play It Again Sam Records」所属たる所以かもしれない。お薦め。