Youth Code - An Overture

An Overture: Collection

An Overture: Collection

アメリカのインダストリアル/EBMデュオのコンピレーションアルバム。
2000年代半ばから後半にかけて所謂ニッツアー・エブ型のオールドスクールEBMがリバイバルしていたけど、その流れを汲みながらも新しい動きもあったよう。それが本エントリで紹介したい一枚。
スぺズナツといった北欧から出てきたオールドスクール勢はニッツアー・エブと同様にハードロック的シーケンスにこだわったがこの二人組はそれを重視しながらもよりノイズ・インダストリアルやブロステップをも視野に入れた音作りをしており、その手の連中とは差を付けている。またメロディにも気を遣いダークかつゴシックな音はスキニー・パピーを思い起こさせる。
そう!これは1980年代後半のスキニー・パピーの再現でもある。パワーエレクトロニクスにビート・インダストリアル、果てはポジティヴ・パンクまでを取り入れてその時代のエレクトロニック・ボディ・ミュージックとは一線を画した。ヴォーカルはブラック・メタルデス・メタルのように歪んで潰されて何を言ってるのか全く解らない雑音と化し、メタル・パーカッション、歪んだエレクトロニック・ビートがカオスを魅せる。
現在、スキニー・パピーは以前の攻撃性や残虐性を含ませた音からは卒業している(ヴィジュアルは相変わらずなのだが……)が、このユース・コードは1980年代のスキニーをオールドスクールEBMに取り込んでいる。EBM全盛期に於いて水と油のような関係であった両者を結びつけたのは圧巻だろう。
スキニー・パピー、ニッツアー・エブが交差するとき……。ちょうお薦め。