KMFDM - Naïve

Naive

Naive

ドイツのインダストリアル・ロック/メタルバンドの3rd。
今や、ナイン・インチ・ネイルズミニストリーと並んで1990年代インダストリアル・メタルの数少ない生き残りであるKMFDM。アルバムを出せば(主に米国の)チャート入りは確実な存在。
でもこのアルバム、というか1980年代後半~1990年代初頭の彼らは折から隆盛していた所謂「エレクトロニック・ボディ・ミュージック」色の方が強い。それは当時、その手のバンドを多く手掛けていたエイドリアン・シャーウッドのバックアップやレーベル「Wax Trax!」に属していたことも大きい。
が、前作よりメタル・ギターの取り入れからインダストリアル・メタルの萌芽が見えてきた。このアルバムはそれを更に推し進めている。しかしエレボディは残したままで。またエイドリアン・シャーウッドは参加していないが、もう彼らなりに会得したのだろう、タックヘッドも追い越すハードコア・ダヴが刺激的に魅せる。
Wax Trax!で勢いがあったリヴォルティング・コックス、スリル・キル・カルトらのロックンロールで黒くファンキーなノリとハードコア・ダヴ、そしてそこはかとなく匂い立つノイエ・ドイチェ・ヴェレが垢抜けないものを演出する。この垢抜けなさがKMFDMの一番の魅力なのだから面白い。どこか洋楽というより日本のバンドが洋楽を志向したようなノリがこのバンドには常にある。それはエレボディ系バンド達に共通するとこでもあるのだけど。でもそれを未だに持ち続けている彼らは貴重だ。
過渡期のアルバム。インダストリアル・メタルを好む向きよりも、リヴォルテイング・コックス、PIGといったWax Trax!色のエレボディが好きな向きにはお薦めしたい一枚。