V.A. - Body Rapture II

Deine Lakaien, Les Berrtas, Solar Enemy, Die Krupps, Schnitt Acht..

Deine Lakaien, Les Berrtas, Solar Enemy, Die Krupps, Schnitt Acht..

ドイツのハンブルグを拠点とするEBM、インダストリアル系レーベルのコンピレーションアルバムの第二弾。
このレーベルは1980年代後半には所謂「ベルジャン・ニュービート」と呼ばれているジャンルを1980年代後半、ドイツやベルギーに雨後の竹の子のように存在していたレーベルと同じく出していた。その後1990年代に入ると多くの「ニュービート」レーベルはトランスやテクノのレーベルへと移行するの(主なレーベルはケン・イシイも居たベルギーのR&S)だけど、このZoth Ommogだけはインダストリアル、メタル的なヘヴィネスさを増してEBMや1990年代のインダストリアル(メタル)へと移行……というより留まった。
このコンピは1992年発表なのでちょうどその転換期のようなものだろう。欧州にトランスの風が吹こうとも、エレボでいることが出来てしまう時代錯誤な連中の音を存分に聴ける。
しかしながら、(これは以前にも書いたが)1990年代のエレボはトランスと区別がつきにくく、特に吠える様なヴォーカルが無ければサイケデリック・トランスやゴシックな雰囲気があるジャーマン・トランスまであと一歩な音で確実に進化しており、1980年代後半のそれとは大きく異なっている。
そう!このトランスこそが1990年代のエレボの特徴だろう。当時隆盛していたトランス及びジャーマン・トランスは欧州の西側を飛び越えて東独……旧共産圏の国(旧ユーゴのクロアチアスロベニア。そしてポーランドやトルコまで)、UK、日本まで届いて人気を博していた。アンダーワールド、オービタル、レフトフィールドなんかの英国のプログレッシヴ・トランスはポップスチャートの上位に来るほどまでに売れていたのはご存じだろう。
トランスはシカゴのアシッド・ハウスが欧州に亘ってエレボと結びつくことで「ニュービート」となりそれが更に進化していったジャンルだ(アシッド・ハウスの欧州的な解釈とも呼べる)。だからトランスの原点の一つとしてエレボがあるのだけど、オービタルを聴いてもそれを感じることは出来ないだろう。しかし、ジャーマン・トランスの一部、サイケデリック・トランスの一部にはエレボを感じることが出来る。そういうことから1990年代のエレボはサイケデリック・トランスの前段階、つまりプレサイケトランスを指し示すことでそのジャンルと(少しだけ)交わりながらも独自の路線を歩むことで健在していたのだろう。
ビート・インダストリアル、エレクトロニック・ボディ・ミュージックサイケデリック・トランスが交差するとき……。ちょうお薦め。買え!以上。