Funker Vogt - Thanks For Nothing

Thanks for Nothing

Thanks for Nothing

ドイツのEBM系バンドの1st。
ミリタリー・ファッションに身を包み、エレボ系の音といえば……もうフロント242というエレボ提唱者たちしか思い浮かばない。しかし、時代は1990年代も後半。単なるフォロワーや原点回帰にはなっていない。
このアルバムの特徴といえば、フューチャー・ポップとエレボの融合だろうか。やたら酩酊する、かつ陶酔感のあるシンセメロディに攻撃的なエレクトロ・ハンマービートにディストーションが効いた濁声シャウト。まるでフロント242がサイケデリック・トランスをやっているような音と言えば端的に伝わると思った。
サイケデリック・トランス!そう!このフューチャー・ポップはエレボ、ニュービートを起源としたゴア、サイトランスが再びエレボと結びついたジャンルという認識が個人的にある。一周周ってまた同じ場所に来てしまった、というわけだ。しかし、その音像は以前のそれとは違ってしまっていることは解るだろう。なのでチャラいユーロ・トランスみたいな音も多いが、このエントリの様によりエレボ色を前面に出している硬派なバンドも多い。
霧散してしまったハズのEBMの軌跡が此処に……。ちとトランスが過ぎるが硬派なエレボを求める向き、ジュノ・リアクター辺りのサイケデリック・トランスが好きな向きにはお薦めしたい一枚。