NON - Easy Listening For Iron Youth: The Best Of NON

Easy Listening For Iron Youth: The Best of Non

Easy Listening For Iron Youth: The Best of Non

アメリカのインダストリアル系アーティストの1975年から1991年までの厳選した音源を収録した所謂「ベスト盤」。
このアーティストは冒頭に書いた通り、古くから活動するアーティストの一人。キャバレー・ヴォルテールやスロッビング・グリセルなんかと同じ時期から活動し始めているのではないかと思う。近年ではヴァチカン・シャドウなんかとコラボをしていて、未だに現役のよう。
まぁでもこのアーティストは検索なんかしたりすると割と問題というか……。ライバッハと同じくパロディだと思うのだけど(あって欲しい)全体主義、ナチズム、オカルトなどのヴィジュアルやコンセプトを打ち出したものが多い。オカルトはまぁ良いのだけど、前者の全体主義やナチズムはウルトラ大問題!ライヴもライバッハと同じく(問題のあるデザインの)軍服姿だとか……。
でもそんなことは置いといて(自分もその辺りには詳しくないし)、音だけを聴くと、あら不思議、良いじゃないですか!ライバッハはビート系……つまりEBMなのだけど、このアーティストはダークアンビエントにも似たゴシックで不穏かつ重苦しいリフを多用してくる。かつそのリフをループさせたりしてくる曲がマジで素晴らしい。パワエレなハーシュ・ノイズ曲も良いけど。クレジットを読んだら、「六月死」ことデス・イン・ジューンのダクラス・ピアードや元デス・イン・ジューン、ソル・インヴィクタスのトニー・ウェイクフォード、果てはコイルの二人、MUTEの長ことダニエル・ミラーまで参加してるようで、このレベルの高い不穏さと高品質ぶりに納得が出来た。
個人的な認識として今までヴィジュアルとコンセプト重視の頭でっかちなアーティストだと思ってたけど、音楽的にもこんなに面白いものを作る人だったとは思わなんだ。ノイズ・インダストリアルに対して「ピーピー・ガーガー鳴ってるだけでしょ」と思っている向きには是非とも一聴して欲しい悪夢的な音楽。