The Cassandra Complex - Satan, Bugs Bunny, And Me...

Satan Bugs Bunny & Me

Satan Bugs Bunny & Me

イギリスのEBM系バンドの4th。
「西のWax Trax!、東のPlay It Again Sam Records」と呼ばれている程のEBM系レーベルの総本山としてこの二つのレーベルが1980年代後半に在ったのだけど、その実、様々なジャンルの音を出していた。
このバンドは金字塔的なコンピレーションアルバム「This Is Electronic Body Music」にも収録されていて、その一派とされることが多い。しかし、このアルバムを聴いてみても解る通り所謂「ポジティヴ・パンク」(以下:ポジパン)。
デジタルビートの上をサイケデリックなファズギターやこれまた耽美でネオサイケなキーボードが時に絡み時に疾走していく。ヴォーカルもエレボ系にありがちな濁声ではなくジョイ・ディヴィジョンを思わすヴォーカルスタイル。
この音に一番近いのがシスターズ・オヴ・マーシーだろうか。ポジパン御三家といえばセックス・ギャング・チルドレン、ザ・サザン・デス・カルト、ダンス・ソサエティらがいたが、その後続としてシスターズ・オブ・マーシーがいた。マシーン・ビートに耽美なメロディとヴィジュアルが特徴的で数多のフォロワーを産んだ。
本エントリーで紹介するバンド「The Cassandra Complex」もそのシスターズの眷属だろう。マシーナリィな美学とゴシックが交差する音。またシスターズよりもデジタル・リフを前面に出した音像はEBMのコンピに収録される所以か。
某音楽雑誌のインタビュでシスターズ・オブ・マーシーのアンドリュー・エルドリッチは自分たちの音を指して「ニール・ヤングとフロント242を足して2で割った様なバンドなんだぜ」と語っていたが、このカサンドラ・コンプレックスは2で割ってない音だろう。入手は困難を極めると思うが、貴方の街のブックオフをくまなく探して欲しい。お薦め。