http://sniper.jp/008sniper/00874aoyama/post_837.phpより。

神崎夢現
1959年生まれ。東京出身のグラフィック・デザイナー。80年代初頭はアリス出版に勤務し、自販機本『少女激写』の末期編集長を務めていた。黒魔術を応用したというレイアウトは驚愕の一言。同誌の編集に関わっていた竹熊健太郎は神崎氏を“日本最後のヒッピー”と評した。退社後はフリーで『週刊本』などを手がけ、1990年に事務所を設立。漫画単行本の装幀、CD・DVDのパッケージデザインなどを行っている。現在amaty inc.代表。『STUDIO VOICE』誌2005年9月号の「ポスト=ジャケット・デザイン」特集号に、「日本のコミューンを横断した、ヒッピー・デザイン」と題した、70年代のミニコミの紹介記事を寄稿している。必見!

おお、この人がクイック・ジャパン3号に収録されている「おたくとハルマゲドン」(文・竹熊健太郎)の文中に出てくる人物Mのことだったのか!

Mの編集術は、当時のおれにしてみれば仰天するようなものだった。いや、今だって仰天してしまうが、Mは、雑誌を編集するに当たって「黒魔術」を応用していたのだ。やや専門的な話になるが、雑誌を編集するには、まず台割というのを作る。ページごとにどういう記事を入れるかを決定する表のようなものである。この表に、Mは大きく逆三角形の記号のようなものを書き込んでいた。何をしているのかと聞いたら、黒魔術なのだという。
Mの理論によれば、三角形の各頂点に位置するページに「ある種のチカラを秘めた企画」を配置することが重要なのだという。「ある種のチカラ」が何なのかいまだにおれはよくわからんのだが、とにかくそういうことらしい。わからないながらも、徹夜明けの編集部で「タバコのよーなもの」を吸いながらMの暗〜い声で説得されると、なんとなく納得してしまうのだった。
クイック・ジャパン3号「おたくとハルマゲドン」より。