00年代の音楽遍歴を総括する後編(2005〜2009)

続いて00年代後半を振り返ることにする。
先ずは2005年。この年はハードコアテクノ!しかも90年代初期の。きっかけはこの年の2月に行ったパーティ「LINEAR」で細江さんというDjがかけていた曲達だった。それは90年代初期のハードコアテクノでありデステクノだった。そしてこの音楽にすっかり魅せられ、TSUTAYAでT99のベスト盤やProdigyの1stを借りてきたり、ブックオフでハードコアテクノのコンピやL.A Styleの1stを血眼になって探していた。特にT99の凶悪にして凶暴なシンセリフ、我武者羅ラップには大ハマり。
また渋谷のタワーレコードで偶然見つけ何の気無しに購入したNitzer Ebbの1stやNitzer Ebbの情報をネットで検索していた時に偶然見つけたサイトtoEBMの代表的なアーティスト達の情報を手に入れ、それらのアーティスト達のCDを中古レコード店等で探していたところ偶然見つけたFLAの「Caustic Grip」、見つからなかったのでamazonで購入したSkinny Puppyの「Too Dark Park」、「VIVISectVI」にで衝撃を受けEBMにもハマり始めていた。
あと、Vitalicの1stによりエレクトロ・パンクにも興味が湧いていた。
この年のベストは2005年12月27日*1、28日*2の日記を参照してもらうとして、このエントリーではそれ以外で心に残ったCDを以下に挙げようと思う。

Too Dark Park

Too Dark Park

Vivisect Vi

Vivisect Vi

That Total Age

That Total Age

Caustic Grip

Caustic Grip

コンプリート・ワークス?ザ・ベスト・オブ・T99

コンプリート・ワークス?ザ・ベスト・オブ・T99

Twitch

Twitch

Early Underground

Early Underground

Experience

Experience

次は2006年。
この年はYouTubeの出現によってCDの買い方が激変した年だった。ジャンル名で検索して自分がまだ聴いたことの無いアーティストのPVや音源を視聴し、気に入ったらamazonでその気に入ったアーティストを検索して(そのアーティストの)アルバムを買う。そんな風に買い方が変わっていった。これで多くのEBM系のアーティストを知りアルバムを買ったり、より興味を深めていくことが出来るようになったのもこの年の大きな変化だった。特にSkinny PuppyのライブDVDとmotorの1stはYouTubeが無かったら買っていなかっただろう。
YouTubeの恩恵で前年から続いていたEBM、90年代初期ハードコアテクノ、エレクトロ・パンクが大爆発した年だった。しつこいようだがYouTubeのおかげでハズレをつかまされること無くCDを買うことが出来、旧譜、新譜共に豊作の年だった。
この年の新譜については12月27日の日記*3で語られているのでここでは旧譜で面白かったものを以下に挙げようと思う。
Metamorphosis 81-92

Metamorphosis 81-92

Tyranny

Tyranny

05:22:09:12 Off

05:22:09:12 Off

Tactical Neural Implant

Tactical Neural Implant

Void Dweller

Void Dweller

Moby

Moby

Cozmic Jam

Cozmic Jam

Bford 9

Bford 9

Big Sexy Land

Big Sexy Land

Unacceptable Face of (Dig)

Unacceptable Face of (Dig)

2007年は12月31日の日記*4で述べているとおりテクノから遠く離れてEBMの奥地(実際にはまだ入り口というところだったことに後で気づくのだが、その時は奥地に入っていったと思っていた)へと進んだ年だった。
2006年の段階ではまだアーティスト買いしていたが、2007年に入ってからはレーベル買いをするようになっていった。WAX TRAX!、PIAS、 Metropolis、Cleopatraといったレーベルから出ていたものを買っていった。なんでレーベル買いできるようになったのかと言われれば、それは前述したtoというサイトでWAX TRAX!、PIASがEBMを多く出していたレーベルだということを知ったし、MetropolisはFLAの新譜を出していたレーベルだったのでもしやと思ったからだし、Cleopatraについては2007年の秋ごろに偶然中古レコード店で買ったレーベルコンピ(収録されている多くのアーティストの名前は知らなかったが、Die Kruppsの曲が入っていたから買った)でその存在を知ったからだ。先に挙げたレーベルの所属アーティスト達の名前を片っ端からYouTubeで検索し音源(もしくはPV)を視聴し、気に入ったらamazonか中古レコード店で探して買うといった具合だった。特にCleopatraに関してはコンピに収録されている曲から検索し、アーティストの情報を引き出し、買っていった。
Cleopatraのコンピは衝撃的だった。toでEBMは90年代初期で雲散したという情報を頭に入れていたので90年代初頭に終わった。そんなふうに考えていた時期が俺にもありました。だがコンピに収録されている曲は紛れもなくEBMであり、だが同時に80年代後半から90年代初頭のEBMとは少し違っていた。圧倒的にダークでトランシーなのだ。そう90年代のEBMはジャーマン・トランスやトランスといったものを取り込んで生き残っていた(それをtoの人はボディと認めないのかもしれないが)のだった。
またDie Kruppsの4th、Ministryの3rdを聴いて(きっかけはYouTube)、インダストリアル・メタルにも興味が湧き始めてきた年だった
この年のベストは12月31日の日記で述べているのでここでは旧譜で思い出深かったものを挙げようと思う。
Freaks

Freaks

I See Good Spirits I See Bad Spirits

I See Good Spirits I See Bad Spirits

Confessions of a Knife

Confessions of a Knife

Beers Steers & Queers

Beers Steers & Queers

Unexpected Groovy

Unexpected Groovy

Enchantments, a Hard Electr

Enchantments, a Hard Electr

Odyssey of the Mind

Odyssey of the Mind

Mechanical Advantage

Mechanical Advantage

Blok 57

Blok 57

Strategy of Violence

Strategy of Violence

Beat It to Fit, Paint It to Match

Beat It to Fit, Paint It to Match

5 Man Job

5 Man Job

Land of Rape & Honey

Land of Rape & Honey

Language of Silence

Language of Silence

2008年は12月27日のエントリー*5で書いているとおりインダストリアル・メタル、インダストリアル・ロックに大ハマりした年だった。Ministryの5thから始まり4thと来て、Fear Factory、KMFDM、Nine Inch Nailsを経て、Hate Dept.、Stabbing Westward、Gravity KillsといったMinistryの3rd以降の音にロックを混ぜたポスト・インダストリアルの連中に行き着いたのだった。おかげでハードコアテクノ、エレクトロ・パンクには全く興味が湧かなくなってしまっていった。
このインダストリアル・メタルというジャンルはメタルというジャンル名が付いているものの打ち込みやエレクトロニック・サウンド、ノイズを取り入れたジャンルで自分にはBPMが速く暴力的な上ものにガバやブレイクコアのようなジャンルの匂いを嗅ぎ取った。特にMinistryの4th、5th、Fear Factoryの2nd、Nine Inch Nailsの1stEPの暴力的かつ無機質なサウンドには圧倒されっぱなしだった。
またポスト・インダストリアル(以降インダストリアル・ロックと呼ぶ)については自分はProdigyの3rdのようなデジタル・ロックを思い起こさせ、そのデジタル・ロックがEBMやインダストリアル・メタルと結びついたようなジャンルに自分は感じ、その繋がり(自分には繋がっているように感じられた)に一人興奮していた。
一方、EBMの方もインダストリアル・メタル、ロックと並行して中古レコード店で旧譜、新譜を漁っていた。この年は前年ところに書いたWAX TRAX!、PIAS、 Metropolis、CleopatraといったレーベルのCDを相変わらず漁り続けていた。
この年のベストは12月27日のエントリーで書いているのでここではそれから漏れた新譜、旧譜を挙げる。
Ministry - Psalm 69

Ministry - Psalm 69

Mind Is a Terrible Thing to Taste

Mind Is a Terrible Thing to Taste

Demanufacture (Bonus CD) (Reis)

Demanufacture (Bonus CD) (Reis)

Broken

Broken

Nihil

Nihil

Downward Spiral

Downward Spiral

Darkest Days

Darkest Days

Gravity Kills

Gravity Kills

Technical Difficulties

Technical Difficulties

Assassins Dk United

Assassins Dk United

Tactical Neural Implant & Millenium (Bril)

Tactical Neural Implant & Millenium (Bril)

Death on the Installment Plan

Death on the Installment Plan

I

I

She's a Machine

She's a Machine

Re-Wind

Re-Wind

2009年の新譜でハマッたものは別のエントリーで書くが旧譜でハマッたものは前半はインダストリアル・メタル、EBM、後半はダブにサイケデリック・トランスだった。
前半は前年の延長線上的な感じで2008年のところで挙げたアーティストの過去作など買い、http://www8.plala.or.jp/neoem/top/index.htm暗黒電撃音楽日記で紹介されているようなCDをamazonや中古レコード店で探して買っていた(暗黒電撃音楽日記を見るにつけこの手の音楽はいよいよ奥が深いと実感させられた)。特に暗黒電撃音楽日記で新譜の紹介文に混じって時折紹介される90年代のオールドスクールEBM、インダストリアル・メタル、インダストリアル・ロックものはこの手の音楽の歴史を知るにはおおいに勉強になったし、ハズレは無かった(amazonでヒットしたものは異常に高値でないかぎり買った)。
後半は2007年、2008年頃からじわりじわりと盛り上がっていたダブとサイケ・トランス(もしくはゴアトランス)の旧譜を良く買った。ダブはAudio Activeの流れから知ったレーベルON-UものやMark Stewartの80年代のアルバムを良く聴いた。ON-Uから出てくるダブはパンキッシュかつインダストリアルで(曲によってはEBMに聴こえる曲もある)EBM耳になっている自分でも抵抗無く受け入れることが出来た。
またサイケデリック・トランスについては2008年(いや2007年かも)何の気なしに試聴して衝撃を受けたDragonflyの90年代のコンピに収録されているアーティストやその周辺のアーティストの旧譜を買った(思いのほか安かった)。初めてサイケ・トランスを聴いた時感じた衝撃は凄くEBMと相似性が高いところだった。ぶっちゃけEBMからヴォーカル抜いてシンセの音曲げて、TB-303を鳴らせばサイケ・トランスになるじゃねみたいな曲も少なくなかったし、実際、Front Line Assemblyの曲をEat Static等がリミックスした「Re-Wind」の2枚目なんてそれ(相似性の高さ)を実証するようなものだった。
2009年の新譜のベストは別のエントリーで書くのでここではこの年によく聴いた旧譜を挙げようと思う。
Aberkash

Aberkash

Embracing the Unknown

Embracing the Unknown

Nefarious Somnabulance

Nefarious Somnabulance

Antichrist Superstar

Antichrist Superstar

Embryo Dead

Embryo Dead

Vol. 1-Testify

Vol. 1-Testify

Combat Shock

Combat Shock

Barbarossa

Barbarossa

Housebastards

Housebastards

Heavy As a Really Heavy Thing

Heavy As a Really Heavy Thing

Mark Stewart

Mark Stewart

The English Disease

The English Disease

Drosophila

Drosophila

Delata Aquarid's

Delata Aquarid's

TWISTED

TWISTED

という訳で00年代を振り返ってみたが如何だっただろうか。後半は前半に聴いていた音楽(エレクトロ、エレディスコ)からインダストリアル・メタル、ロック、EBMと、それまで推していた音楽から決別した時期だった。またあれだけ嫌いだった(インダストリアル)メタルやサイケデリック・トランスを聴けるようになったのも後半の大きな変化だった。
00年代前半の時も書いたが書きたいことが沢山ありすぎてまとまらなくなってしまったのでごっそり削った。
さて次の10年間はどんな音楽を聴いているのだろうか……。