Combichrist - Making Monsters

Making Monsters

Making Monsters

ノルウェーのインダストリアル/EBMバンドの5th。
前作同様ストイックなまでにアシッド・ボディを追求しているが、前作にあった一本調子なところが無くなっている。とともにある種の派手さ(この手界隈の派手さのことで一般的なものを指すことではない)や速さがなくなり前述したストイックなところが浮き彫りになっている。とはいえ彼らはインダストリアル・メタルに挑戦とか大きな路線変更もせず、見事に前作を越えた。このアシッド・ボディ、どこまで行くのか気になる。
かように前作よりも曲のクオリティが大きく上がっている。アルバム展開は上げるとこは上げて、下げるとこはとことん下げる(まぁその中間もあるのだが)。それに全体を漂うどんよりしたところと冷徹さは特筆に価する。
重量感のあるボディ・ビートの上を肌理細やかかつアシッドなシンセ・ベースにダークで時に覚醒、時にどんよりとしたシンセが絡みつき、そしてだみ声ヴォーカルが吼える。これは90年代のFront Line Assembly(以下FLA)が持っていた覚醒と弛緩にどこか似ている。もうちょっと突っ込むとFLAの「Tactical Neural Implant」に彼ら特有のアシッドさを足した感じになるかもしれない。
前作の派手さは無くなったがより音はストイックになり一本調子も改善された。このどんより&目の覚めるようなアシッド・ボディはドラッグに例えるならばスピードボールだ。危険なアルバム。車に気をつけろ……。