LXT - Death Club Entertainme

Death Club Entertainme

Death Club Entertainme

イタリアのサイバー・インダストリアル・ロックバンド、Dope Stars Inc.のサイドプロジェクトの1st。
Dopeと変わらねぇwサイバーなシンセとラウドロックが混在する、ニュースクール・インダストリアル・ロック。でも本家よりもインダストリアルかも。金属音とかするし(それだけかい!)。
これでお終いなのだが、最近インダストリアルで気になったことを自分なりに書いてみる。きっかけはTwitterでsaitotakakoさんとhatosan_greatさんMarchen_diverさんがインダストリアル・ロックとインダストリアル・メタルのジャンルとしての曖昧さを指摘していたものだ。その議論で面白かったのが80年代後半から90年代の所謂打ち込み中心のニューウェイヴ的なるものがインダストリアル・ロックと呼ばれたりするのは何故かという問いに対してのsaitotakakoさんの答えは、「テクノ・ポップという80年代初期のシーンから逃れるためにでっち上げたジャンル」というものだ(意訳なので間違ってたらごめんなさい)。
なるほどニューウェイヴもロックを基調としていたが、時代の要請によって、「ニューウェイヴださい他に呼び方はないものか」という問題をインダストリアルというジャンルに肩代わりしたわけだ。だから80年代のノイズ/インダストリアルに対して断絶が感じられるのは当たり前なのだ。そういえば銀星倶楽部のオルタナティヴ特集のFront 242のインタビューで(Front 242のメンバーが)YMOに対して何回も言及しているのにも関わらず、インタビュアーが曖昧かつ無かったことにしようという返し方はその時代(90年代初頭)の雰囲気を表していた。またその問題を自覚的に表現していたのが「NEWSWAVE」という雑誌ではなかったのではないだろうか。
なんでこの話題を書いたのかと言うと、このアルバムもその時代を通り越してきた感があるからだ。狭義のインダストリアルを聴いてきた人にはこのアルバム、おおよそインダストリアル・ロックとは呼べない。しかし、その手の(つまりインダストリアル界隈)で話題になるし、日本盤もその筋のレーベルから発売された。肩代わりのジャンルがいつしか本物になった。そんな歪んだジャンルから生まれてきたことは間違いない。しかし、00年代に入りニューウェイヴださいという風潮も無くなり主従関係は崩壊した。LaibachはJuno Reactorと共演し、ゴスイベントにインダストリアルバンドが呼ばれる、レーベルもインダストリアルからトランス、ゴスごちゃごちゃだ。つまりアーティスト、リスナーが好き勝手にジャンル付けすればいいのだ。
全ては開放された。Dopeと変わらない、サイバーな雰囲気は健在。Dopeが好きなら買っても損はないだろう。