Erasure - The Circus

The Circus

The Circus

イギリスのゲイ2人組みによるエレクトロ・ポップデュオの2nd。
このアルバムをデペッシュ・モードからヤズーを経てリアルタイムで聴いてきた人はこう思うのではないか「ヴィンスクラーク、全く進歩していない……」と。後追いで聴いた自分もまたそう思うのだから。デペッシュ・モードの1stにあったどこを探しても見つからない闇。どこまでも明るく健全なポップスが延々と続く。変わったのは機材の進歩によるとこだけ。小野島大センセ編集による雑誌「NEWSWAVE」の広告にあった「(イギリスの)皇太子も寝る前に聴く」(今手元にないのでうろ覚え)という煽りも頷ける。全く毒がないので穏やかな気持ちになるので眠る前には最適だろうと思う。2nd以降のデペッシュの耽美もなく、初期ニューロマンティックにあった過剰なヴィジュアルもない。押し付けるわけでもなく、遠ざけるわけでもない。でも感動させたい音楽を作りたいという意思だけは強く伝わってくる。哀愁(しかしこれもデペッシュ・モードのそれとは種類が違う)や雲ひとつ無い真っ青な爽やかなメロディが満載なエレクトロ・ポップスだ。これがイギリスの大衆ならず皇族まで受けたのは当然だと思う(ちなみにイレイジャーはMuteの稼ぎ頭)。
芯はクラフトワークの如く変わらないが天才コンポーザーのヴィンス・クラークとソウルフルなアンディ・ベルの歌声が素晴らしい電子ポップスを作り上げた。自分的にはこのアルバムと次のアルバムを彼等の最高傑作だと思っている。