Pain Emission - Fidget

Fidget

Fidget

アメリカのインダストリアルバンドの1st。
最近暑くて、獣臭漂うボディやインダストリアル・メタルを聴く機会がめっきり減った。でもスキニー・パピーは別。ホラー映画を観るような感覚で聴けるので最近へヴィーローテーションです。感じまくってます。
という訳で本エントリで紹介するインダスもスキニータイプ。80年代から積極的(?)にポジパン等の暗黒ゴスを取り入れていたスキニー・パピーは90年代に入ってインダストリアルやダークエレクトロの基本形になる。その流行るきっかけを作ったのがNINやマリリン・マンソンなのだが、オリジナルと思われるスキニーは悔しいことに90年代に入ってからシーンの盛り上がりに反比例するかのように活動停滞期に入っていくのだけれど(それはエンジニア兼プロデューサーのオギルヴィがマンソンに力を注ぎ始めたり、ラドルフ・D・ゴッテルがヘロインの過剰摂取で死去したことが原因だと考えられる)。
で紹介するアルバムに戻ると、スキニーの4thや5th辺りをNINと結びつけて、更にトランスで味付けしたような感じ。これは後のダークエレクトロへの繋がりを感じさせる。あとこのアルバムを出している「COP International」についても半可通ながら、紹介したい。というか90年代のインダストリアルシーンね。
90年代初期にWax Trax!が死んでから、いや死んだがために表舞台に浮上してきたレーベルがいくつかあって、ドイツでニュービートを主に出していたZoth Ommog、オフビート、UKではゴッドフレッシュやピッチシフター等へヴィなインダストリアルを出すイヤーエイク、(個人的には)デジタルハードコアの基盤を作ったDynamica、米国では先のCOP International、散々ブログ言及したクレオパトラなどが80年代後半から立ち上がってきて、90年代にインダストリアルを担うレーベルに成る。半可通なので何を言っているんだ!?という向きも大勢いるが、これらのレーベルに共通する点はトランスを取り入れているところだと思った。ジャーマン・トランスの叙情的な部分がゴスと上手く結託してしまう。元々トランスというのはゴスっぽいというか……90年代初期のヒット曲Age of Loveのマリア様のジャケット*1がそれをもろに表現してしまっている。あ、トランストランスって言ってるけど、日本の人達が思い浮かぶトランスとは意味合いも違うし音も当然違うから。スヴェン・ヴァス、ウエストバムなんかのジャーマントランスやUKトランスのフルークとか90年代前半のアンダーワールドをイメージして欲しい。
スキニー・パピーフォロワーながら後のダークエレクトロ登場を匂わすトランシー構成がなんとも耽美かつ陶酔感が襲ってくる。また冷ややかなのも今の気候から逃避するのに最適。お薦め。