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Helicopter + Wookie Wall

Helicopter + Wookie Wall

Skinny Puppyのケヴィン・キーとPhil Westernから成るエレクトロニカデュオの8th。
ここ数週間前の自分のツイッターのタイムラインに「池田亮司が80年代にEBMのバンド居た事抹消しようとしてるの面白い」という呟きが流れて来て、その時は何か奥に取れないようなものが詰まった感じだったのだが、この作品をつい3時間ほど前に思い出して、これだ!と。
この作品、スキニーのようなインダストリアル・メタル性を期待する向きを完璧に裏切るエレクトロニカオウテカの90年代の未発売音源集かと思ったもんオレ。これがスキニーの面子ではなければメトロポリスから出てない(出せない)と思う。
先に90年代のオウテカと書いた。オウテカIDM系に属しているが、見方を変えてみると実にインダストリアルな音楽性を持っている。この作品はスキニーの暴力や破壊的インダスメタルをエレクトロニカに変換しているというのがよくよく聴いていると気が付く(というか気が付かされる)。90年代の傑作「Too Dark Park」をエレクトロニカ変換したという感じ。物凄い暴力や荒涼、退廃が渦巻いている。これを聴くとIDMとはインダストリアル・デジタル・ミュージックの略では?という気持になってくる。またオウテカも実際スキニー・パピーのリミックスやソフトバレエの藤井さんとBUCK-TICKの今井さんとのシャフトで共作したりとその筋とは交流していた。
オウテカのデビューとも言えるwarpの記念碑コンピ「A.I」の1の各アーティストの質問形式の紹介文があり、どのレーベル、どのバンドに影響を受けたかという質問に対してオウテカはテクノ系に混じってバンドではミート・ビート・マニフェスト、レーベルではPlay It Again Samを挙げている。どちらもインダストリアルやEBM系だ(日本盤の新たに質問しなおした方にはWax Trax!の名前が載っている)。これは凄いことだと思う。当時は(後追いで知ったことだが)インダストリアルが好きだなんて言ったらダサいと言われたりするのはいいほうで悪いとファシスト呼ばわりされたぐらい(らしい)だ。その方向は未だに残っているようで冒頭に引用した呟きが流れてくる始末。
いつだって好きなものは好きだといいたい、しかし世間体が……。でも天才どもは全く異に介さず挙げてくる。どんな時代であろうと。どんなことを言われてもちゃんと作品で圧倒して返してくる。そんなオウテカの姿勢が輝かしい。
このアルバムはオウテカ原点的アルバムだと思った。インダストリアル好きもIDM好きにも等しくお薦めできる。