KMFDM - Hau Ruck

Hau Ruck

Hau Ruck

ドイツのインダストリアル系バンド13th。
このバンドの紹介文を書く時はどこから書いていいのやら、といつも悩む。ノイズ・インダストリアル世代よりは若く、(ノイズ・インダストリアルからすれば)ポスト・インダストリアルと呼んでしまうであろう、第二世代のバンド。初期はミニストリーなどと歩を同じくするEBMからインダストリアル・メタルへと移行した。が、他のバンドが脱落していく中でミニストリー、NINと共に唯一生き残った「チャート上位を狙える」バンド。(90年代以降の)インダストリアル界のビッグ3だろうKMFDMは。
1999年の「Adios」を出したっきり沈黙し、本当に「Adios」したかのように見えたが、世界がきな臭さを取り戻した2002年に「Attak」で復活。ジャケットから解るように挑発的なアルバム。前年に活動していたMDFMK名義に近いサイバー・パンクなジャングル・ビートで暴走。お次の「WWIII」ではそのストレート過ぎる題名で当時戦争状態だったアメリカのメトロポリスからはリリースされなかった。
で「WWIII」の次作が今エントリで紹介したいアルバム。「WWIII」は彼らにしては珍しくデジタル色が薄めの大文字の「メタル」だったが、本作は前作が「……という夢を見ていたんだ」と言わんばかりにエレクトロニクスを使い倒した音に仕上がっている。というかエレクトロニック・ボディ・ミュージック。しかし、それは80年代後半のそれではない、00年代仕様にアップデートされたエレクトロニック・ボディ・ミュージック。歪んだ重量エレクトロ・ビートの上をこれまた歪んだビリビリ痺れるシンセ・ベースが唸りスラッシーなギター、そして叫び共に爆走していく。
この重装機兵ヴァルケン(from メサイヤ)で疾走するかの如き血湧き肉踊る電子肉体音楽は最近の彼らの銘である「ウルトラ・へヴィー・ビート」を体言するものだと思っている。エレボディ好きは買わないと。超お薦め。