Controlled Bleeding -Buried Blessings

Buried Blessings (1988-90)

Buried Blessings (1988-90)

アメリカのノイズ/アンビエントバンドの1988年から1990年までのアルバムやらEPやらシングル音源からの編集盤。
このバンド、1st(かな?)のヤバ目なジャケットが物語るように初期は70年代末のSPKに通じる鬼ハードコアなノイズを演っていたのだが、他のノイズ系バンドと歩みを同じくして1980年代後半にはEBMに転向。で本エントリで紹介したいこのコンピはその時期の音を集めた、ちょうオレに良しなコンピになっている。
でもこのコンピというかこの時期のControlled Bleeding(以下CB)はエレボディながら他のバンドとは異なった雰囲気を醸し出している。Wax Trax!系とは明らかに違うサイバー暗黒ノリ。でもどこか抜けているとこも魅せてWax Trax!からもアルバムがリリースされていた。それはこの人達が活動の拠点をニューヨークに持っていたからだろうか。Wax Trax!系が持つ田舎臭さが全くしない。
サイバー・パンクかつメタリックなエレボディだ。しかしそれ一辺倒ではなく、ライバッハを匂わすオーケストラが雄大さを感じると同時に、どこかほのぼのとしたエレボディともプログレともつかない曲もあったりして、なかなか聴かせて多彩だ。
特に「サイバー・パンクかつメタリックなエレボディ」はこの時期のFront Line Assemblyの一歩先を行き、90年代のFront Line Assemblyの下書きとなるような音になっている。ミニストリーが88年のアルバムでスラッシュ・ギターを取り入れて「インダストリアル・メタル」を作り上げたように、このCBもメタルを取り入れている。しかし大多数のインダストリアル・メタル勢が90年代半ば以降どんどん「普通」のメタルになっていったが、CBは違った。流石ノイズ・インダストリアルあがり、彼らはノイズやジャンクで補強し過剰に歪ませてくる、正に言葉通りのインダストリアルなメタルを奏でる。Front Line Assemblyにあとちょっとの出来だ。
ミニストリーの暗黒で不穏なエレボディにサイバーパンクを加味したプレFront Line Assemblyがここに。しかし90年代も半ばになると(元々そういう音源も出していたが)アンビエントや実験的なノイズに移行(というか戻っただけ)してエレボディやインダストリアル・メタルはCBから聴こえなくなる。まぁ自分も全部の音源を聴いているわけではないから解らないが。貴重なコンピ。買え。以上!
ほんとに消費者風情としては残念だが……。