MZ.412 - In Nomine Dei Nostri Satanas Luciferi Excelsi

In Nomine Dei Nostri Satanas Luciferi Excelsi

In Nomine Dei Nostri Satanas Luciferi Excelsi

スウェーデンのゴシック、デス・インダストリアル系レーベル「Cold Meat Industry」からの3rd。
このバンド、初めてユニオンのへヴィ・メタル館で見たときはデス及びブラック・メタルかと思った。だってメンバー全員顔白塗りでサタニックなデザインのジャケットでさ(本エントリ紹介の盤は再発盤。オリジナル盤とはジャケットが違っている)。でもレーベルが「Cold Meat Industry」だから試聴したら……。嬉しい「看板に偽り有り」。
暗黒ゴシックなメロディ、80年代初期のスロビッング・グリセルにあった廃墟となった工場から聴こえてくるようなサイケデリックなダークアンビエント、割れ割れデジタルビートの上を加工しまくりの叫びが乗っかるインダストリアル・ハードコア、いきなり飛び出すテスト・デプトなメタリック・トライバル……。何かSPKの1st&2ndを彷彿とさせる「こいつら何を考えているのか解らない」という一切不明の衝撃のインダストリアル音楽がこのアルバムには満載。SPKと同様、ただの単純な暴力的なノイズ・インダストリアルとは一線を画す不気味すぎるインダストリアル。
特にビートかつベース音楽スタイルの曲は「インダストリアル・テクノ」を標榜していた90年代後半のスピーディーJを思い出すが、あれより数十倍凄い……というか恐ろしい。不穏なインダストリアルといえばメタルに転向したミニストリーやスキニー・パピーが代表だと自分は思っているけど、世界は広くてこういうバンドも存在していた。というかほとんど異世界といっても良いくらいの音像が広がっていて、(違った意味で)ネオ・サイケデリックなインダストリアルと呼びたい。まだまだスキニー・パピーやミニストリーは現実世界に留まっているけど、こいつらは違う。完全に「あっち側」だ。聴いていると引っ張られていくような感じがする時がある。
調べると「ブラック・インダストリアルの開祖」という紹介があるが、その名に恥じない(?)音楽。おっかねぇ。