Portion Control - The Man Who Did Backward Somersaults


イギリスのインダストリアルバンドの1982年から1986年までの音源をまとめたコンピレーションアルバム。
1980年後半からの所謂エレクトロニック・ボディ・ミュージックに多大な影響を与えているのだが、世間的には知名度がイマひとつでエレボディに触れている某書でソコが思いっきり抜けていて、アマゾンのレビューで指摘されてました。
でも演者周辺ではそうとう有名らしく、このコンピの解説文をフロント・ライン・アッセンブリー(以下:FLA)のビル・リーブが書いてます。でそこから何が分かるかと言うとこのバンドの音が初期FLAにそっくりなのです。曲によってはFLAのデモ曲みたいなものでここから発展させていったのだなということまで分かりますw
あとあと同国同時期のキャヴァレー・ヴォルテールにもそっくりで初期FLAがキャブスと語られることが多い原因はココにあったのだなと分かります。というかぶっちゃけるとヴォーカルがステファン・マリンダーだったらオレにはキャブスとポーション・コントロールとの区別がつかないだろうなw
しかし、キャブスとまた違う部分もあってそれはリエゾン・ダンジュルーズやトミー・シュタンプ等の当時ジャーマン・ニューウェイヴを匂わせる暗黒とアシッド感覚が渦巻いている。それはジゴロから出ていたジャーマン・ニューウェイヴのコンピ「New Deutsch」を聴くとソレが分かると思うけど、あの退廃としてアシッド音楽は後のエレボディにもシカゴ・アシッドにも受け継がれていて、ジゴロから、かようなコンピが出ていたのは必然だと思う。同コンピに収録されているTB-303のビキビキ、ウニュウニョとヴァイオリン、そして暗黒シンセが絡んでいる曲なんか謎すぎて震えがきますね。
このバンドもその雰囲気があって、6曲目なんてメタルビートの上をTB-303とシャウトが絡むという、オーパーツが過ぎる。デッド・オア・アライヴみたいな17曲目も謎で面白いけど。
またこのバンドが身を置いていたイルミネイテッドというレーベルもまたまた凄くて、当時のオーパーツ&辺境連中、23skidooや400 Blows、Sex Gang Children、元キリング・ジョークのユースと現ジュノ・リアクターのベン・ワトキンスから成るYouth & Ben Watkinsなど等を介していたちょう恐ろしいレーベル。先日23skidoo来日ライブで前座のDJ諸氏がこの周辺の音をかけたりしてましたが、フロアがグッと異次元空間に変わっていく様を感じたりもして、改めて凄いなと思ったり。誰かこのレーベル音源をまとめてくれないかな。なんかアンディー・ウェザウォールとかがやってくれそうな雰囲気もあるけど。
出版社から著作物を出すことが出来る専門家が忘れてwしまう位の知名度故、なかなか入手が困難だろうと思うけど、探しだす価値のあるコンピだと思った。ちょうお薦め。