The Neon Judgement - Horny As Hell

Horny As Hell

Horny As Hell

ベルギーのエレクトロ・ロックデュオの2nd。
「東のPIAS、西のWax Trax!」と呼ばれていたEBM隆盛期における「東のPIAS」でFront 242に次ぐ売り上げを記録していた二人組。打ち込みビートにギター、というスタイルはシスターズ・オブ・マーシーと比較されたそう。確かにそのスタイルはともかく、彼らはジョイ・ディヴィジョンやスーサイドに触発されて音楽を作り始めたのだとか。だからポジティヴ・パンク、またはシンセ・パンク的な雰囲気を持っているのだが(特に初期はまんま)、このアルバムからそうではない部分が出てきている。
それはアメリカ的なカントリー・ミュージックだろう。なにやらカウボーイハット被った騎兵隊が集うバーでブルースマン弾く旋律を聴かされているような……。常に西部劇を観させられているような気分に陥ってくる。しかも「テクノロジーを駆使したカントリー」だ。それはどこかバロウズの「デッド・ロード」を読んでいる感覚に近い。サイバー・パンクな趣に満ちた西部劇だ。
またシスターズ〜のエルドリッチが「ハウスはサウンド重視型の音楽だと思うんだ。歌詞とかはそれほど意味を持っていない。でもシスターズはその逆。まさしく歌詞重視型のバンドだからね。そういった点で関心が持てないんだよ。機械を駆使したり、シンプルで反復音が多いって所は似ているかもしれないけどね。」とリミックス誌で語っているが、この逆なのが本エントリのネオン・ジャジメントだと思っている。それは銀星倶楽部のインタビュを読むと「アラビア音階、打ち込みビートでアフリカ音楽のリズムを再現した」とかサンプリング、コンピュータの話が主でエルドリッチが拒否した全き「サウンド重視型の音楽」だということが分かると思う。そういうことからこの二人組はPIASから作品を出していたのだろう。
ラストの哀愁感が堪らない名盤。そしてそれはEBMの名盤でもある。ちょうお薦め。入手は難しいかもしれないが見つけたら即購入!