Laibach - Opus Dei

Opus Dei

Opus Dei

スロベニアEBM系バンドの3rd。
1980年代後半におけるEBMの名盤でしょう!このアルバムは。ハンマービートの上に大仰なオーケストラと厳ついシャウトを乗せるスタイルは前作からのものだが(そしてこれこそが彼らの根本だと個人的に思っている)、曲の完成度が大幅にアップしていることに冒頭から気が付くことだろう。前作がデモテープかと思うくらいに。
1980年代前半にはノイズ・インダストリアルの一バンドとして捉えられていた(いや今でもそうかもしれない)が、1980年代後半のEBMの隆盛と共にシーンと同期……したわけでもないが米国のWax Trax!や英国のMUTEからライセンスリリースされるというのはそういうことなのかと思う。実際のところ彼らの音楽性は全く変わっていないのだから周りがライバッハの様な音作りを志向し始めたと考えるべきだろう。またフロント242、ミニストリーキャバレー・ヴォルテールらが1980年代中盤から鳴らしていた音に「正式な名称」が与えられた、及び受容されたり彼らが思うものを表現できる環境が整ってきたと見ることも出来るかもしれない。それはフロント242の1stを聴いた後に3rdを聴けば理解できると思う。圧倒的な機材の進歩というものに気が付くことだろう。
ジャストなハンマービートの上を大仰なオーケストラ、うるさいギター、シンセベースがたゆたい、そしていかつく強迫的なシャウト……未だ見ぬ祖国でもない国に誇りを感じマーチをしたくなるような、全く不思議な感覚に陥ってくる。これは多くのEBMやインダストリアルが隠し味に持っていて、面と向かって表現することをしなかった表現を前面に推し出したライバッハは圧倒的だ。彼らを取り上げたドキュメンタリーで「ライバッハが表現したのは自身の幻想」というのは言い得て妙。勿論自身の幻想というのは……言わぬが花ですわね。あはは。お薦めです。