Combichrist - We Love You

We Love You

We Love You

ノルウェーのIcon Of CoilのサイドプロジェクトによるEBM系バンドの7th。
前作「Devil May Cry」のサントラで魅せたインダストリアル・メタルから一転して今作はブロステップ!お前らもか!コーンがスクリレックスとかをフィチャーしたのが発端だと思うけど、それに続いてFront Line Assembly、ライバッハらがブロステップ化するというEBMにおける一大ムーブメントとなったモヨリ。あとはダークエレクトロ勢も結構ブロステップ化している。
しかし何故ここ2〜3年で今更ブロステップというかダブステップが隆盛し始めたのだろう?もう10年くらい前にリフレックスから「Grime」っていうコンピが出てきて「ダブステップ」というジャンル名で呼ばれるようになったけど、その頃聴いた感想としてはスピードガラージとヒップホップ、そして(1990年代初期の)ハードコア・ブレイクビーツを足したような感じだなぁと。それはゴス・トラッドが「Mad Raver's Dance Floor」を出した時にT99とプロディジー、あとは当時のグライムを挙げていて作り手側もそういう認識だったということが解る。
でも最近のブロステップを聴くとあの頃のダブステップとは明らかに違う。よりハードコアにブーストされた歪みまくった最近の「ブロステップ」はまるで1990年代後半の「デジタル・ロック」のよう。デジタル・ロックにおけるTB-303のベース音がギター・ソロしていたようにワブルベースがギター・ソロしている。「ブロステップ」をアメリカ産の「ダブステップ」と見る向きもあるそうで、流石メタル大国の作る音楽だと思う。それらの亜流としてメタル・ステップというジャンルもある位だから。
このアルバムの内容に移ろう。前述した通り「ブロステップ」を取り入れた作品。しかしFLAがなにか若作りしているような違和感を聴かせてくれたのとは違い、驚くべきほどハマっていた。今までのどの音源よりもラウドかつへヴィに感じる。そして、その「騒々しさ」や「重さ」が彼ら独特の目を回す「アシッド」感覚と結びついていたのだから……いかに大変な音楽に仕上がっていることが解ると思う。また前作のインダストリアル・メタルも健在。しかもクレイトン兄貴を基に更にアップデートさせたようなブロステップとの混合物だ。
今年のベスト盤。ちょうお薦め。買え!