T·H·D – Mechanical Advantage

Mechanical Advantage

Mechanical Advantage

アメリカのインダストリアル/EBMバンドの1st。
1993年にもなると正にEBMは霧消状態である者はメタルにまたある者はトランスへと向かっているのだが、このバンドが居た米国はメタルへと行ったバンドが多い。それはいち早くメタル化したミニストリーが100万枚級の売り上げを記録したことが大きいと思う。ナイン・インチ・ネイルズの成功もまた大きいけど。
しかし、このアルバムは所謂メタル化した1990年代のインダストリアルとは異なったフロント242やフロント・ライン・アッセンブリー型のEBMアルバム。もしかしてこいつら引き籠りかもしれない、と思うようなノー・スラッシュ・ギター&フルエレクトロニック音像。当時死滅寸前の米国(メタルじゃない)インダストリアル・シーンを支えたクレオパトラからリリースされていたアルバムだが、それにしたって時代が錯誤。これ売れたのでしょうか?マジで。
硬質エレクトロ・ハンマー・ビートの上をサイバー&ゴスで暗黒なメロディ、ぎっちぎっちに硬きシンセ・ベースが時に疾走したり絡んだり、そして電気加工されたヴォイスが怪しく吠えて魅せる。流行り廃りなんて全く考えてもいない、自分たちの作りたい音楽といった雰囲気が伝わってくる。そんなオタク魂が横溢するアルバムに仕上がっている。うん、よし、自分によし。
正にどこを切ってもフロント242やFLAが現れる金太郎あめエレクトロニック・ボディ・ミュージックがここに……。お薦め。