Noise Box – Monkey Ass

Monkey ass

Monkey ass

アメリカのインダストリアル/EBMデュオの1st。
以前、1990年代も半ばになると所謂EBMが霧散していてある者はトランスへまたある者はメタルへと書いたけど、全く消えたわけではなく実はそれなりに健在だった。しかし、その数は多くなくナイン・インチ・ネイルズミニストリーの大ヒットにより最もインダストリアルが強かった米国ですら大手はこの二人組を出していたレーベル「Cleopatra」一強という有様。ホントはこのレーベル、ゴス専門らしいが(クリスチャン・デス、サザン・デス・カルト等の再発もしていた)今にも消えようとする者達を一手に引き受けていた。また欧州の生き残り組、ニュービートからトランスへと移らず、確固たるインダストリアル/EBMレーベルを貫いたドイツの「Zoth Ommog」、同じくドイツで共闘していた「Off Beat」らの音源をライセンスリリースするなどもしていた。なのでWax Trax!亡き後を埋める役割と見た方がいいだろう。まぁ正しく書くとWax Trax!は無くなった訳ではないが……。インダストリアル/EBMとしてのレーベルとして亡くなった感じ。それでもKMFDMがいたりして孤軍奮闘していた模様。
しかし、その旧来のEBMといっても1980年代後半のそれとは違ってきている。それは「Zoth Ommog」勢の音を聴けば一目だろう。例えばZoth Ommogからのレザー・ストリップ。あのダークかつトランシーなメロディ、スキニー・パピーの様な歪んだヴォイス……。流石トランスの前身であったニュービート上がりを感じさせる音像。そう!トランス!1990年代におけるEBMの特徴としてあるのはトランス。話が前後してしまうが以前、EBMはトランスの原点だと書いた。その事実からだと矛盾してしまうが1990年代のEBMは現行のトランスを吸収してオリジナリティを獲得している。
このアルバムも欧州産のEBMに呼応する形で「トランス」を取り入れている。がこのデュオはそこにもう一つ「ブレイクビーツ」を取り入れた音像。まるでプロディジーを思い起こさせるようなロッキンブレイクビーツ!ヒップホップも盛んな米国ならではの音になっているのも面白く先行していたUKのミート・ビート・マニフェストとは全く異なっている。