Autechre – Incunabula

Incunabula

Incunabula

イギリスのエレクトロニカデュオの1st。
最近、1990年代前半のテクノ、トランス、アンビエントを聴いてたりするのだが、これが(個人的な)大ヒットをしている。と言っても買い漁っているわけでもなく、一時期(2000年代前半辺り)に投げ売りされてて(安いから)なんとなく買っていた盤や兄弟が持っていた盤で、押入れを漁っている次第。
で、これがなんともいえなく素晴らしく「なんで放っておいたのだろうか?」と自分のことながら首を傾げたり、旧家人のセンスに対して(悔しいが)肯かさざるえない。
当時(1990年代前半)はハードコア(レイヴorテクノ)、トランスの台頭によりひたすらアッパーというBPMが170超える曲で世界中の皆さんが瞳孔開きっぱなしで「うっひょ~」してたらしいが、コインに裏表があるようにまたダウナーで煙たい音もあったようで、それが本エントリで紹介するアルバム。
このオウテカなる二人組は今でこそ「エレクトロニカ界のクラフトワーク」として不動のものにしていたりするが、この時代はまだレーベル「ワープAIシリーズにおける一アーティスト」でしかない扱いだったようだが、今聴くとその時代で消えていったアーティストと比べると格段の音を魅せてくれる。ヒップホップ、ダヴ、そしてトランスまで同じ曲の中に溶け合っているが、後のインダストリアル色が強い音はまだ少なく、同時期のジャーマン・トランスにも聴こえてきた哀愁あるメロディが特長的。そしてそのメロディラインの素晴らしさはどうやらBolaのDarrell Fittonに因る部分が大きいのではないかと思う。Darrell Fittonは1stにしか参加していないが、オウテカの続く2ndも同路線でかなりの影響があるのだろう。というか個人的にはBolaのアルバムを聴いているような感じだ。興味を持たれた向きは調べてみると面白いかもしれない。
Bolaを思わす哀愁と酩酊感ある電子音楽は今の時期に最適で雪がチラつく風景を観ながら聴きたさがある。ちょうお薦め。