Halo In Reverse – Trials And Tribulations

Trials & Tribulations

Trials & Tribulations

米国のインダストリアル・ロック(ワンマン)バンドの1stにリミックスとでデモ音源が付いた二枚組。
端的に表してしまえばナイン・インチ・ネイルズ型のインダストリアル・ロック。しかも1990年代前半の。こういう書き方をすると数多の眷属バンド達の音、つまるところの「ポスト・インダストリアル」(グラヴィティ・キルズ、Stabbing Westward)らが思い浮かぶだろうが、「ポスト・インダストリアル」勢はあくまでもポストNINとして始まりメタルやテクノやらブレイクビーツを取り入れて「ダーク」かつそれなりに時流に沿った馴染み易いインダストリアル・ロックを奏でていた(しかし、デジタル・ロックに負ける)。その後、割とマジでこのジャンルが衰退してStabbing Westwardのアルバムタイトルだったらしく、NINも2005年に出したアルバムはシンセ・ロック/オルタナティヴ・ロックという趣に満ち溢れていた。
が、このアルバムを聴くと……という夢を見ていたんだ……と言いたくなるような「インダストリアル・ロック」。というか「The Downward Spiral」まんまだよ!このまんまぶりには苦笑するしかないと思うが、当時のシーンに置いては貴重な直球だったと2016年になった今にしては思える。最近あんまり聴こえてこないが、全く時流を見てなかったゼロマンサーと共に「インダストリアル・ロック」復権の立役者である一バンドだ。
NINや先達が去ってしまった場所を埋めたきたく思う……そんな志しか見えない正にポストNINサウンドが此処に……。ちょうお薦め。