Crowforce – Crowforce

Crowforce

Crowforce

イギリスのインダストリアル・ロックバンドの1st。
某中野の中古レコード店にて「インダストリアル・ハードコア。エレクトリック・ビートがダンサブルに聴衆を動かす」という帯に惹かれて購入。帯があるということは邦盤なわけだが、解説文を読むとミニストリーらのインダストリアル・スラッシュと比較している。でも読み進むとジーザス・ジョーンズと比較していて面白い。
で盤を聴くとミニストリーと比較している冒頭よりもジーザス・ジョーンズと比較している後半の方があっている。全編に亘って打ち込みだが、インダストリアル勢の縦ノリとは明らかに違う横ノリで、つまるところハウスのリズム。またサンプリングを多用しており、ネタもアシッド・ハウスの声ネタ、シンセメロやらガラージ・ハウス、イタロ・ハウスからサンプリングしたと思われるピアノ音がますますジーザス・ジョーンズ。1980年代後半から1990年代前半に(主に英国で)隆盛したハウスとロックの融合を試みていたバンドの一つという感じだ。
このハウスとロックの融合なる音楽はヒップホップが源流であることは間違いないだろう。アメリカで生まれたラップとサンプリングで構成されたヒップホップは英国に渡ると所謂「ミクスチャー」になった。アメリカは詩にこだわったが英国はサウンドにこだわった。ヒップホップのあらゆるジャンルから引用する姿勢を受け継いで、当時英国で台頭していたハウスからパクリまくった。そしてそれをパンクとロックに注入した。とにかくらんちき騒ぎをしたい子供にはサイコーの音楽だっただろう。米国のシリアスなメッセージなんてパーリーの雰囲気を前しては無力だったわけだ。
しかしながらWax Trax!のライセンスリリースをして同レーベルの英国支部と化していたDevotionからなのか、インダストリアルにある政治的で煽る詩やスラッシュ・メタルなザクザクとしたギター・リフにオリジナリティを感じる。もしかしたらインダストリアル(メタル)側からのミクスチャーへの返答なのかもしれない。
ジーザス・ジョーンズ、ポップ・ウィル・イート・イットセルフなんかの1990年代前半の英国ミクスチャーが好きな向きにはお薦めしたい一枚。