Cabaret Voltaire - Code

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イギリスのインダストリアル系デュオの8th。
この二人組は1970年代から活動するスロビッング・グリセルと並んで所謂「インダストリアル・ミュージック」の創始者。グループ名も、反芸術運動(ダダイスム)の発祥の地であるスイスのキャバレーの名前にちなんでいるというから根っから。
しかし、初期のメンバーであったChris Watsonが脱退してから、その音楽性は大きく変わっていく。従来のインダストリアル性はそのままに、より「ビート」で「ファンキー」かつ「ポップス」であることを目指した音作りに変わり、その音はレーベルを「ヴァージン」という大手に移籍したためもあり、ある程度の人気を得るが同時に彼らがかつていた「インダストリアル」シーンからは顰蹙を買いシーンの中核に居たホワイトハウスらは名指しで批判していた。
本エントリで紹介するアルバムはその移行後の四作目にあたり、この路線では最高傑作にあたるのではないかと個人的には思っている。前作のファンキー・エレクトロを更に推し進め、NW的なロックは完全に払拭されている。プロデューサーとエンジニアにON-Uのボスことエイドリアン・シャーウッドを迎え、驚くほど強烈布陣で面白い音を魅せる。
この頃(1987年)はフロント242が「オフィシャルヴァージョン」、その前年にニッツアー・エブが1st、ミニストリーが「トゥイッチ」、リヴォルティング・コックスが1stを出して所謂「エレクトロニック・ボディ・ミュージック」が台頭し始めた。キャブスは彼らのお手本となるような音を作り上げてきた訳で、その観点からだと本アルバムは完全にボディ・ミュージックだ。その点でボディを好む向きにも聴いて欲しさある。
彼ら独自のひんやりとしたビートにメロディ。そこへ研鑚して来たデジタル・ファンクがこの時期に最も適した音を奏でている。キャブスのボディ・ミュージック期における最高傑作だろう。シーンの盛り上がりの前に最盛期を迎え、ハウスへと移行してしまったのは惜しいが……。ちょうお薦め。買え!あとリマスター希望!以上!