V.A. - Another World - Electronic Body Music(Part 3)

Electronic Body Music 3: Another World

Electronic Body Music 3: Another World

以前、本エントリで紹介するコンピの題名にあるジャンルは1990年代に入ると衰退したって話を書いたけど、実はそれなりに健在(この話も前に書いたが)だった。その健在ぶりを示すのが本コンピ。
とはいっても題名の「アナザー・ワールド」が物語るようにそれ以前の「エレクトロニック・ボディ・ミュージック」とはまた異なっている。(リミックスだが)冒頭のフーバーが聴こえてくるトラックでそれが解るだろう。この「ブォーン」という所謂「フーバー」(シンセ)の暴力的な音色は1990年代初頭の「ハードコア・テクノ」で多用されたもの。どのグループ、アーティストが使い始めたのかは定かではないがハードコア以前にはアシッド・ハウスやニュービートでも聴くことが出来たのでそれが初出かもしれない。
このニュービートはこれまた以前に書いたがEBMの派生。本コンピは端的にいってしまえば「ニュービート」。しかも初期のインダストリアル色が濃いニュービート。この頃になっても流行に乗れずにくすぶっていた連中いたようで、かような連中が奏でるトラックは頑固さと同時に牧歌的な雰囲気を味あわせてくれる。
しかしながら前述したようにフーバーなど(当時の)流行への目配せもあり「まだまだ終わらんよ!」と諦めの悪さも魅せる。でもどう聴いてもフロント242の眷属的な音像が全体的に亘って勝っており、やはりニュービートでエレボディ。
ベルジャンニュービートの気概を十二分に聴くことが出来る傑作コンピレーションアルバム。フロント242が好きな向きにはクソお薦め。ブックオフや中古盤屋で見つけたら即購入!ちょうマストバイ