Spahn Ranch - In Parts Assembled Solely

In Parts Assembled Solely

In Parts Assembled Solely

アメリカのEBM/インダストリアル・ロックバンドのEP。
色々な事象(もう何回も書いたから省略したい)から所謂「エレクトロニック・ボディ・ミュージックは衰退しました」なのだが、それでも幾つかのバンド及びアーティスト、そしてレーベルのお蔭でそれなりに健在だった1990年代。
本エントリで紹介する盤はその残党の一つであった「クレオパトラ」というアメリカのレーベル。チャプターなんちゃら(会社更生法みたいなもの)を喰らって倒産した後、メジャーのTVT傘下になったWax Trax!(再開始後はUKのトランスやハウスをライセンスリリースするレーベルになった)を引き継ぐようなレーベルで(1980年代のWax Trax!と同様に)欧州残党の音源までライセンスリリースしていた。これはかなり重要でアメリカ、カナダ盤の取り扱いが圧倒的な日本では(一部を除いて)欧州盤の入手は困難を極める。なのでアメリカのレーベルがレザー・ストリップなどを扱ってくれることでこの日本でも容易に入手することが出来た。
とはいえクレオパトラはクリスチャン・デス、サザン・デス・カルトといった所謂「ポジティヴ・パンク」まで出していて、それまでのエレボディ系レーベルとは趣が異なっていた。というか世間的にはこっちのゴス方面の方が有名みたいだね。例のインダス本こと「INDUSTRIAL MUSIC FOR INDUSTRIAL PEOPLE!!!」にはL.A.ゴス系レーベル総本山「クレオパトラ」と書いてあったりする。
冒頭にはEPと書いたけど、全十曲で49分というアルバム並のヴォリューム。まぁ内容はリミックスだったりライヴ音源だったりなのだが……。でもかなり充実した内容なので紹介に至った。
このバンドは残党に相応しくリヴォルティング・コックスやフロント242を思い起こさせるような古き良きエレボディを奏でてくれて、うん、よし、オレによし、なのだけど、リミックスされたそれはかなりトランス、それもサイケデリック・トランス、ゴア・トランスな調子で(当時の)流行に擦り寄って来ている。でもそんな調子なのにエレボディ具合が後退することなく、むしろ際立ってるのが不思議。自分が日頃提唱する「サイトランスのルーツはボディにある」が補強された感じ。
フロント242がメタルを取り入れずにそのまま突き進んだらこうなるかも……な趣に満ち溢れたEP。リヴコなファンキーのりももちろん健在。なのでその向きにもお薦め出来る。