Cabaret Voltaire - The Covenant, The Sword And The Arm Of The Lord

イギリスのインダストリアル系バンドの7th。
暑い……。暑苦しいジャケにこれまた暑苦しい音のエレボやインメタなんぞ聴いてられるか!とアンビエントや涼しげなIDMを聴いている今日この頃。
だがこのキャブスはこの時期にも聴ける!というかこの時期こそ聴くべきアルバムが本エントリで紹介したい一枚。
スロビッング・グリセルと共に「インダストリアル・ミュージック」の基礎を作り上げたこのキャブスも1980年代に入ると、ダンスよりのダンサブルな音を奏でるようになり、旧来のノイズ・インダストリアル勢……というよりもよりハードコアになったパワー・エレクトロニクス勢に裏切り者扱いされて、特にホワイトハウスのウィリアム・ベネットが自身の発行する同人誌で「ラフトレードのTGやキャブスはもう一つのファンク・バンドまでに甘くなってしまった。TGのアルバムに関して我々は彼らのアートに見るべきパロディを感じない。しかし、ヒューマン・リーグよりはずっとましだ……。」とキャブスのライブアルバムのレビューを書いていた位だ。しかし、そのベネットが揶揄する「もう一つのファンク・バンド」が揶揄では無く称賛にしか読めない素晴らしいアルバムに仕上がっている。
1983年発表のアルバム「The Crackdown」前後からそのファンク・バンドたるダンサブルでファンキーな音作りをし始めた彼らの到達点がこのアルバムで聴ける。前作で魅せたダヴをより推し進め、歪んだマシンガンのようなデジタル・ビートが印象的。それに加えて旧来のヒンヤリとしたビート感やインダストリアルも健在でインダストリアル・ダヴ、インダストリアル・エレクトロ・ファンクと呼びたくなるような音が満載。また全体的に漂うトロピカルなメロディも南国を思わせてこの夏という時期に合う。あと、途中からズタズタになっていくのはUKダヴの総本山ON-Uの総帥エイドリアン・シャーウッドの影響だろうか。圧倒的な音像を魅せてくれる。
続くエイドリアン・シャーウッドがPかつミックスのアルバム「CODE」と並んでEBM期キャブスの最高傑作だろう。リヴォルティング・コックス好きは買って損無!くそお薦め。